2025年12月6日(土)

プーチンのロシア

2025年9月9日

 ソ連崩壊以降、ロシアは死亡数が出生数を上回る状況が続き、経済不安などを背景に人口が海外に流出する構造が定着していた。プーチン政権が発足した2000年以降は、原油高を背景に経済面では回復したが、独裁的な政権を嫌う若年層を中心に、欧米などに人口が流出する傾向は続いた。

ウクライナ侵攻で一変

 人口回復に向けたこれまでの努力を突き崩したのがウクライナ侵攻だ。

 まず鮮明になったのは、若年層を中心とした国外流出の激増だ。侵攻開始以降、海外でも仕事を見つけやすい知識階級の若者らを中心に国外脱出が増大。100万人規模の人口が流出したとの調査もある。海外メディアはウクライナ侵攻にともなう人口流出は、1917年のロシア革命や、1991年のソ連崩壊時に匹敵していると報じている。

ロシア軍の訓練、今や北朝鮮からの派遣兵士にも頼らざるを得ない状況となっているようだ(Russian Defense Ministry Press Service/AP/アフロ)

 当然、戦争での死者数も人口減を促す。英国防省は今年6月、ロシア軍の死傷者数が100万人に達したとの推計を発表したが、そのうち死者・行方不明者は約25万人と推計している。人員不足に陥ったロシア軍は、北朝鮮からの派遣兵士に依存せざるを得ず、地方の高齢者らも契約兵として戦場に駆り出さざるを得ない状況に陥っている。

 そのような中、将来戦争に赴かなくてはならない子どもを産むことを躊躇する若年層が増大していることは想像に難くない。ロシアの人口学者によれば、2025年1~3月の出生数は1800年代以降で最低になった。

 2月は前年同月比で7%以上落ち込み、月次では過去200年で最低だったとされる。このような状況が、前述の〝学生出産〟推進の背景にある。


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