2026年2月13日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年9月22日

 その結末はプーチンに侵略の報酬を与えることを拒否するとの西側の基本的立場と整合的だとは到底思えないが――停戦ラインが永続的となる危険を考えれば尚更のこと――トランプ政権にウクライナが戦い続けることを全面的に支援する用意がない以上、仕方のないことのようである。ロシアによる占領を法的に認める訳でないことがせめてもの救いであろう。

停戦に向けた「安全の保証」をどう行うか

 停戦には「安全の保証」が伴わねばならない。ハースも書いているように、停戦が「長続きせず、平和への一歩ではなく単に一休止に過ぎないこととなる危険」があり、それを避けるためにはウクライナの「安全の保証」が不可欠と考えられる。

 ハースは欧州で検討されている欧州有志国によるウクライナへの駐留軍の派遣という構想に否定的である。この構想にはロシアとの全面的な戦争となる危険が内在するということのようである。

 ロシアに対する抑止のための物理的な存在がウクライナの切実な希望であり、欧州は自身の安全のためにもその必要性の認識を共有している。「安全の保証」のための駐留軍は前線で任務につく訳ではなく、ウクライナ軍の後方にあって支援する。

 単に停戦を監視するだけでは意味はなく、必要とあれば戦うということらしい。確かに、制度設計は困難かつ微妙である。

 ハースの代案とて実現は困難と思われる。それは軍事支援とインテリジェンス支援の期限のない提供をトランプ政権が約束することであるが、トランプ政権にその用意があるとは思われない。

 欧州の構想は欧州が安全保障の面でより大きな役割を担う具体的で重要な一歩となるものである。トランプもこの構想に理解を示し、インテリジェンス、指揮統制、防空の面で支援を提供することをコミットしたとも伝えられる。

 プーチンは妨害を試みるに違いない。「安全の保証」の仕組みにロシアが加わる必要があるとラブロフ外相は言っているが、「羊の番を狼にさせろ」というかのごとき要求が論外であることは言うまでもない。

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