2025年12月6日(土)

Wedge REPORT

2025年9月19日

 達成には1日平均15万人超の来場が必要だが、会期終盤に入るまで、この水準を超えた日はほぼなかった。序盤の不入りが響き、協会が1日の最大来場者とする22.7万人が閉幕まで毎日続いても、最終的な総定数には届かないことも判明。日本総合研究所は、最終的に2500万人前後となるとみている。

 協会幹部は「できるだけ多くに来てほしいが、安全・安心に楽しめることや、交通機関との関係で問題が起きないことを重視し、適切な人数のレベルを考えながら運営している」と話す。

ラストスパートへ乗り越えるべき課題

 入場券の販売数から黒字がほぼみえている状況だが、専用駐車場にマイカーを止めてバスに乗り換える「パーク・アンド・ライド」の利用料収入が期待した水準に全く届いていないことなどの不安要素もあり、さらなる収支拡大が求められる。

 そのためには、まずは残り少ない期間で、来場者の満足度を保ちながら、なるべく多くに来てもらうことがカギとなる。来場者の大半を占める関西の客は何度も来場できる通期パスなどで訪れているケースが多いため、収支的にはこれからでも「新規客」を取り込みたいところだ。

万博はリピーターが多く、慣れている人は折り畳み椅子などを持参して行列に並んでいる

 協会は大阪に押し寄せているインバウンド(訪日客)の来場にも期待していたが、こちらは会期が進むごとに割合が減少しており、巻き返しは困難だろう。また、企業購入分の入場券の多くが使用されていない状況もある。使ってもらえれば首都圏などから家族や友人分を追加購入しての来場も見込め、収支への貢献が期待できそうだ。

 明るい材料として、公式キャラクター「ミャクミャク」の人気の高まりから、閉幕後もグッズ販売が継続されることがある。協会はグッズを展開する契約企業からロイヤルティーを受け取る。

 登場当初は、独特なデザインもあって「気持ち悪い」など散々ないわれようだったキャラが、立派に「万博のしんがり」を務めようとしている。愛知博がそうだったようにキャラが閉幕後も定着すれば、想定外の大きな利益をもたらす可能性もあることから、万博成功の命運を握っているともいえそうだ。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る