このニュースは、ホワイトハウスにも衝撃を与え、気分を害したトランプ大統領は「統計の数値は自分の政権を悪く見せるための民主党の陰謀だ」などとして、エリカ・マッケンターファー局長を直後に解任するという異例の措置に踏み切った。
過去に同局長を歴任した経済学者たちは、大統領の主張に対し「局長は統計に関する最終発表文を公表前に確認するだけであり、数値を操作することはあり得ない」と一堂に反論している。
“tariff man”はどう動くか
いずれにしてもその後、局長後任人事のもたつきなどもあり、9月の雇用統計は未発表のままだが、高関税の影響がじりじりと企業に広がりつつあるだけに、専門家の間では、いずれ発表されたとしても、数値はより悪化の公算が大きいとの見方が出ている。
このまま、雇用統計が悪化し、来年後半に向けて失業者がさらに増加していくことになれば、中間選挙で上下両院死守をめざす共和党にとって致命傷となりかねない。
もともと、トランプ氏の看板政策でもある高関税政策は、有権者が敏感に反応する国内企業の立て直しと雇用回復が狙いだった。ところが、直近の経済指標は改善に向かうどころか、どちらかと言えば悪化の兆候を見せ始めている。
就任以来、自らを“tariff man”と呼び、なりふり構わず諸外国を揺さぶって来たトランプ氏は今、ジレンマに立たされている。
