2025年12月5日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年10月21日

 フィナンシャル・タイムズ紙が9月27日付けで、国連安保理の対イラン制裁が再導入されたことについての解説記事を掲載している。概要は次の通り。

(-1001-/vchal/gettyimages)

 イランが西側諸国に対して、核計画についての懸念に対応するとの説得に失敗したことを受けて、イランに対する国連の制裁が再導入された。これは、英国、ドイツおよびフランスの3カ国が8月末に(2015年のイラン核合意に基づいて)「スナップバック」を発動したことに伴うもので、イランには、これら3カ国の求める条件に従うか、制裁の再導入に直面するかを判断する30日間の猶予期間が与えられた。

 対イラン制裁は、9月27日の夜に、この猶予期間が終了したことで、イランが「核分野のコミットメントの重大な不履行」(ルビオ米国務長官)を続けていることに基づき再導入されることとなった。同国務長官は、「再導入される決議の諸規定は、イランの核、弾道ミサイル、通常兵器、不安定化に繋がる活動による脅威に対応するものである」と述べた。イランによるウラン濃縮の停止、弾道ミサイル技術の使用禁止も求められている。

 E3とも呼ばれる欧州の三カ国は、イランが米国との交渉を再開すること、国際原子力機関(IAEA)との協力を再開すること、兵器級に近いレベルまで濃縮した408キロのウラン備蓄の現状を明らかにすることを求めていた。9月28日、イランの外務省は、「E3の動きは、イランを含む国連加盟国に何らの義務を課すものではない。全ての国は、この不法な行為を認めることを拒絶すべきである」と述べた。

 また、イランの軍部も、仮にイスラエルがこの国連の諸決議をイランに対して戦争を再開する口実として用いるのであれば、決然と対応する用意があると警告を与えた。

 国連総会のマージンで行われた最終段階の協議にも関わらず、米国とイランとの間で外交交渉を再開するための努力は成果を上げることができなかった。E3は、イランがその主要核施設に対してIAEAの査察を認めることでは満足しなかった。イランのハメネイ最高指導者は、現在の状況で米国と交渉を行うことは、「降伏」を意味することとなり、イランの「不名誉」となるので行わないとの立場である。


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