今回のスナップバックのプロセスは、2015年にイランがE3、(米国の)オバマ政権、ロシア、中国との間でまとめた核合意で規定されているものである。この核合意は、トランプ大統領が第一期の際、一方的に離脱することによって、崩壊に近い状況となった。
イランは、それに応じて、核計画を顕著に拡大し、60%以上という兵器級に近いレベルまで濃縮したウランの備蓄を増大させていた。イランは、これまでも米国による制裁によってグローバルな金融から切り離され、経済が圧迫されて、苦境にある。
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どこまで「スナップバック」を実施するか
英国、ドイツ、フランスの欧州3カ国は、8月28日、15年のイラン核合意における「スナップバック」と呼ばれる制裁の再導入の措置を発動し、1カ月間の猶予期間の内に、それを否定する決議が国連安保理で採択されなかったことから、9月27日の終了時点で、制裁の再導入が決まった。
「スナップバック」とは、改めて説明すると次のような仕組みである。15年の核合意において、イランが核活動を制限することと引き換えに、国連安保理の決議が課してきた制裁を解除することとしたが、イランが核合意に違反したとみなされれば、一旦、解除された制裁が復活する仕組みを設けた。
核合意の当事国は、イランが合意に違反していると考える場合、合同委員会での解決ができなければ、安保理にその旨の通告を行うことができ、安保理が30日以内に制裁解除を継続することを決議しない場合には解除されていた国連安保理の制裁が復活する、というものだ。
なお、この核合意を主導した米国は、オバマ政権から第一期トランプ政権への政権交代が起こったことで、18年に核合意から離脱し、米国独自で科すことができる制裁を導入している
世界の中でどの程度の国が「スナップバック」に基づく再制裁の措置をとるかが注目される。10月1日、主要7カ国(G7)外相は声明を発出し、「スナップバックの発動を支持する点で結束している」と述べるとともに、「全ての国連加盟国に対し、これらの制裁およびその他の制限措置を完全に履行し遵守するよう強く求める」とも述べたが、イランは、このスナップバックの発動を「不法な行為」と非難した。
実は、スナップバックの正当性は必ずしも一見して自明であるわけではない。15年の核合意を最初に壊したのは第一期トランプ政権であり、イランはそれに対応するために核活動を再開したに過ぎないとの理屈も提起されるからだ。
