2026年2月13日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年10月21日

 一方、念頭に置くべきは、15年の核合意の前の状況である。核合意の前の時点には、イランが国際社会の声に反して核活動を行っていたことに対して、一連の安保理の決議によって制裁措置が科されていた。

 現在、イランが核活動の制限を行わないのであれば、スナップバックによって、15年以前の世界に戻るしかない、というのが西側諸国の理屈である。安保理決議には、法的拘束力があるので、スナップバックにも法的拘束力がある。

 果たして国連加盟国のどの程度の国がこれに従って行動するか。これは、多国間主義にとっての新たな課題である。

どう交渉は展開されるか

 イランは、今後、誰を交渉相手として局面の打開を図るのか。イラン核問題が国際的な懸案となったのは02年であるが、イランは、03年以降、欧州3カ国(および欧州委員会)ないし米国を主な交渉相手としてきた。

 欧州3カ国がイランとの外交交渉で主役の役割を果たしてきたのは、米国が主導した03年のイラク戦争を受けて、独仏が米国とは異なった外交交渉による対話路線を目指し、英国もそれに乗ったからに他ならない。ところが、現在、欧州3カ国は、米国のトランプ政権と歩調を合わせる姿勢に転じており、イランは、ロシア・中国を頼りにするしかない状況となっている。

 核不拡散の観点から最も重要なのは、どのようにしてイランの核活動を制限し、それを監視するかであるが、当面、外交交渉によってそれを実現する道筋は見えていないと言わざるを得ない。

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