2024年12月7日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年6月23日

 5月12日付け米National Interest誌に、Dennis Gormley米ピッツバーグ大学公共国際問題大学院上級講師、Andrew S. Erickson米海軍大学准教授及びJingdong Yuan豪シドニー大学准教授が連名で論説を寄せ、中国の保有する巡航ミサイルの開発状況に対し、十分な注意が払われていないのは驚くべきことである、と述べています。

 すなわち、中国の開発した巡航ミサイルについては、外部ではほとんど注目されていないが、もっと厳しい監視の目が注がれるべきである。

 米国海軍は、対艦巡航ミサイルの種類と量を厳格に制限しているが、中国はそれほど厳しく規制していない。

 中国の対艦巡航ミサイルは中国海軍の海洋進出、なかでも特に将来の台湾海峡有事のシナリオを考える際、特別の重要性を持つ。台湾有事の際、米国による軍事的介入を阻止するために極めて重要な役割をはたすのが、この対艦巡航ミサイルである。

 中国は技術的にも数量的にも優越した敵に対抗するため、「暗殺者の矛」と呼ばれるこのミサイルを使おうと考えている。

 中国は米海軍が接近した時に、接近阻止・地域拒否(A2/AD)のため、まず精度の高い対艦巡航ミサイル(ASCM)を使用するだろう。そして同時に対地上攻撃巡航ミサイル(LACM)を使って、より広範な地上、海上の戦略拠点を攻撃することを計画しているらしい。

 LACMについては、グアム、ダーウィン、ディエゴ・ガルシアまでの地域をカバーすることが出来るとしている。

 2014年の米「国防計画の見直し」(QDR)で書かれているように、中国の米国及び米国のパートナーに対する弾道ミサイルと巡航ミサイルによる脅威は着実に上昇しつつある。

 中国はとくにASCMは軍事衝突の際、結果を左右するほどの重要性を持つものと認識している。中国の研究者たちの大きな問題意識は、いかにしてイージス艦に打ち勝ち、敵の弱点をつくかということである。そのためには将来、より進んだ空母を用いて、ASCM,LACMを使用するという形の対米攻勢を考えている。


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