加熱する世論とどう付き合うのか
一番の問題は、排外主義の感情論を利用しようという勢力に対して、多様性が大事だというイデオロギーから「喧嘩を買ってトラブルをエスカレート」させる勢力があることだ。現在の日本はそんな「のんき」なことを言っている場合ではないのであって、何としても国内の産業と人材をグローバル経済にリンクさせて、経済上の国益を守っていかねばならない緊急時である。
今こそ、デジタルトランスフォーメーション(DX)と国際化を徹底しなければ国が滅びるという瀬戸際でもある。つまりは、攘夷から維新開国へと180度方向転換した明治の先人と同じ位置、つまり失敗すれば国を失う危険と隣合わせなのだ。
そんな中で、高市早苗首相は「排外主義とは一線を画しつつ、外国人政策を進める」として動き出した。世論にある感情論を煽らず、また正面からは受け止めず、ガス抜きをしながら国益を守ろうという首相の姿勢は、方法論としては全く正しい。押すところは押し、引くところは引く具体策を効果的に繰り出すことで問題の沈静化を目指していただきたい。
