世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年6月25日

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 経済成長を正当性の基盤にしてきたベトナム共産党は、外国からの投資を疎外することを恐れている。今回の騒動がどこまで経済に打撃を与え、中国政府との裏ルートに影響するか、まだわからないが、紛争が長引けば、ともに親中派とされる、チオン・タン・シャン大統領やグエン・フー・チョン共産党書記長と手を組む党の主要派閥にとってマイナスになり、親中的現状に苛立つ改革派が勢いづくかもしれない、と報じています。

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 今回のベトナムの反中騒擾の国内政治的背景という、外部からはなかなか分らない情勢を良く解説した記事です。

 民間の自発的排外デモは、放置すると反政府デモに転化する恐れがあるので、ベトナムのような一党独裁国家では、これを国民の不満のガス抜き程度に抑えるのが通例であり、ベトナムも今まではそうであったようです。ところがベトナムは、今回だけは中国に対する国民のナショナリズムをそれが噴出するに任せた感があります。

 記事は、今回は国民の怒りは、政府がそうあって欲しいと願うよりも強いかも知れないと観察しています。そして、むしろ政府としては、それが外国からの投資に及ぼす影響の方を心配し始める状況に至ったと見ています。実際、5月18日には、ベトナム政府はデモの取り締まりに乗り出し、その背景には、中国の経済的影響力への憂慮があったようです。

 中国経済の長期持続的な高度成長を、あれよ、あれよと見ているうちに、それで達成された、国際政治における中国の影響力は、押しも押されもしないものになってしまったように思われます。それは、東南アジア、台湾、豪州だけでなく、欧米でも政治的影響力と化している感があります。

 これは既成事実として認めざるを得ません。あとは、中国の成長が何時まで続くかの見通しと、たとえそれが漸次凋落するにしても、中国の力が、おそらくは絶頂期に達すると見られる今後十年間に如何に対処するかです。

[特集]南シナ海をめぐる中国とベトナムの衝突

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