国民は、質の悪い議員が減るだろうと短絡的に誤解して賛成するかもしれないが、国民がなくしたい議員が繰り返し当選する可能性も大いにある。小選挙区制では、二大政党の公認を得た議員が当選する可能性が強いからだ。
公認を得た時点で勝負は半分決まっているのである。そもそも二大政党政治が議会の理想像であると誰が決めたのか。国民は多党化でよいと思っているのではないか。
議会制民主主義の基本へ立ち返れ
現在の「小選挙区比例代表並立制」を決めたときも、小選挙区の議席数と比例の議席数の配分については政党間の対立が激しく、配分は二転三転した。どういう配分が適正であるかについて決め手はない。
議会制民主主義の大きな基本は二つあって、一つは多数決原理、もう一つは少数意見の尊重である。最後は多数決で決めるが、そこに至るプロセスとしての議論が大いに尊重されなければならない。議員定数削減の問題についても国民が納得するよう国会で大いに議論されるべきである。
今回の発端は自民党と日本維新の会による連立政権合意だったが、内閣をつくることについての合意で議会の議員選挙について決定することには異論もある。自民党の中でも定数削減を含む選挙制度改革は議長の下に置かれている与野党の協議会が責任を持って議論するのが筋という意見もあるようだ。一方では選挙区を変更するのは大変だからスピード重視で比例の定数を削減するべきだという考えも報道されている。
もともと中選挙区制が「小選挙区比例代表並立制」に変更されたきっかけが「政治とカネ」の問題であったとすれば、政治とカネの透明性そして企業・団体献金の問題を捨象して議員定数削減問題だけに焦点を絞ってしまう進め方では国民の政治不信は解消しないのではないか。
