現在建設中の石島湾原発 (HUANENG SHANDONG SHIDAO BAY NUCLEAR POWER CO.HP)
山東省で建設中の原発は、商用炉手前の実証炉1基(2モジュール、計約20万kW)で、これが完成した暁には「高温ガス炉の分野で、中国が日本を上回る」(中国事情に詳しいテピア総合研究所の窪田秀雄氏)という状況になる。完成は17年を予定している。
胡錦濤前国家主席も訪れたこの施設に、海外メディアとして初めて取材をした。安定地盤を求めて、地下18.4メートルまで掘り下げたところに、5基のクレーンがそびえ立ち、600人程の作業員が建設を進めていた。
「高温ガス炉の実用化を目指している。応用の部分で優れている日本とは連携を深めたいと思っている」と胡守印副総経理(副社長)は話す。中国は核燃料サイクルのカギとなる高速炉の開発も行っているが、「中国では高速炉と高温ガス炉のどちらを進めていくべきか論争が起きている。福島第一原発の事故があったこともあり、安全性の高い高温ガス炉に注目が集まっている。国内だけでなく、シンガポール、スイス、中東諸国も我が社の高温ガス炉技術に関心を寄せている」と続けた。
石島湾原発には、高温ガス炉20基が建設されるという話を聞いていたが、現地を訪れると、不思議なものを目にした。
それは同原発の将来模型であるが、高温ガス炉が建設されるべき場所に米ウエスチングハウスの最新型加圧水型軽水炉AP1000が4基、AP1000の技術を取り込み国産化したCAP1400が2基設置されていた。
山東半島の東端にある石島湾原発。朝鮮半島との距離も近い。各原子炉建屋の位置は、取材時の情報を基に作成した大凡のもの(Google map)