実はハイチとフランスの両方でU-21世代の代表に招集された経歴を持つが、11年からハイチのA代表で活動している。現在もリーグドゥ(フランス2部)のバスティアでゴールマウスを守る実力者だ。
もちろんハイチ生まれで、代表チームの主力を担うタレントもいる。北中米カリブ海予選のニカラグア戦で、2-0の勝利に導く先制ゴールを記録した右サイドアタッカーのルシウス・ディードソンがその一人だ。ただ、彼もアメリカにあるサッカーアカデミーから北欧のデンマークに渡り、現在は北米MLSのFCダラスで活躍している。
キュラソーとは違い、小国といっても人口1000万人を超えるハイチ。れっきとしたプロリーグは存在するが、代表チームの主力の大半が国外でプロキャリアを積んでいる“国外組”だ。
チームを率いるフランス人のセバスティアン・ミニェ監督は、コンゴ共和国やケニアなど、主にアフリカで代表監督を務めてきた。オランダ語圏のキュラソーを指揮するアドフォカート監督と共通するのが、ハイチはフランス語圏であるため、言語に支障がないことだ。
人口56万人の島国もW杯へ
キュラソーやハイチに似た躍進はアフリカでも起きている。カーボベルデは予選に参加するようになってから、7度目の挑戦で初めて予選突破を果たした。人口約56万人の島国だ。
ポルトガルの重要な植民地、貿易の中継地として発展し、75年の独立後にクーデーターなどを経験したが、アフリカ諸国の中では政治的な混乱が少なく、民主主義国家として国際社会の信頼を得てきた。そうした背景があるだけに、ポルトガルをはじめとした欧州諸国との人的な交流も多く、移民の出入りも活発だった。
サッカー面もここ数年で飛躍的な成長を遂げたというより、地道に成長を続けて今がある。いわゆる“欧州ディアスポラ”が果たした役割も大きいだろう。
そうした中で、アフリカの出場枠が従来の5から9.5に増えたことで、大きくチャンスが広がったことは間違いない。W杯予選の最激戦区だったアフリカはこれまで、50を超える国が5つの枠をかけて予選を行い、最後は10カ国を5つの組に分けて、ホームとアウェーの2試合で合計スコアを競うという形式だった。カーボベルデは前回大会の予選で、アフリカ屈指の強豪ナイジェリアと同じC組になり、健闘およばず2位で最終予選を逃していた。
今回は9つに分けた各組の首位になればW杯出場が決まるというレギュレーションで、これまである種、理不尽なレギュレーションに道を阻まれてきた国にもチャンスが拡大したことは確かだ。過去8度のW杯出場があるカメルーンが同組になったが、カーボベルデは7勝2分1敗の好成績でライバルを上回り、見事に首位で本大会への切符をつかんでいる。
