2025年12月6日(土)

勝負の分かれ目

2025年10月27日

 サッカー日本代表は10月、”サッカー王国”ブラジルを相手に、歴史的な逆転勝利を演じた。親善試合とはいえ、前半0-2から後半に3得点を奪う大逆転で、ブラジルとの14試合目にして初勝利を飾った。

 これまで率いたクラブで数々のタイトルを勝ち取ってきた、百戦錬磨の敵将カルロ・アンチェロッティ監督も、「日本は素晴らしく強いチームだ。特に後半は非常に良いプレーをして、前線でプレッシャーを仕掛けてきて、我々はビルドアップがとても難しくなった」と認めるしかなかった。

(長田洋平/アフロスポーツ)

 日本を大勝利に導いた森保一監督の言葉には、選手の心をつかむ指揮官のマネジメントが浮かび上がる。

カタール大会より確実に成熟

 森保監督はまず、選手たちの戦う姿勢を高く評価した。「戦術的なことは試合の中にたくさん詰まっていますが、選手たちが前半厳しい状況の中でも切れずに戦い続けてくれました。ハーフタイムに戻った時も、みんなが建設的に後半どう修正したらいいか、冷静にコミュニケーションを取ってくれました。その中でコーチ陣が選手たちに後半、より明確な役割を与えたことで、集中力を切らさずに戦えたことが、今日の勝利につながったと思います」と語り、選手とコーチ陣、スタッフを含めたチーム全体の一体感が勝利の土台になったと説明する。

 「選手にどのように伝えることで、後半ギアを上げられるかを、コーチ陣が選手にうまく働きかけてくれた。チーム一丸となって結果にこだわりながら戦い抜くというプロセス、そして理想通りにいかないところを現実と向き合い、自分たちの成長へトライしてくれた。それをこれからもチームとして続けていきたい」

 その言葉に、森保監督の流儀が詰まっているように思う。マネジメントには大きくトップダウン型とボトムアップ型があるが、森保ジャパンはどちらかと言うと後者寄りだ。しかし森保監督は、選手の考えも尊重しながらチーム全体、時にコーチ陣の助力も得て個別に、伝えるべきことは伝える。その使い分けはカタールワールドカップ(W杯)前よりも格段に成熟しているようだ。


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