サウジアラビアの首都リヤドで2024年7月、史上初となるeスポーツのワールドカップが開催された。同国は22年以降、eスポーツ振興に注力しており、27年には「オリンピックeスポーツゲームズ」の開催も予定している。
こうした動きに伴い、拡大するeスポーツ産業を支える電力インフラの整備にも注目が集まる。中東最大の電力消費国であるサウジアラビアは現在、急増する電力需要への対応に加え、脱炭素化への取り組みも迫られている。
盛り上げるeスポーツ産業
サウジアラビアは現在、ムハンマド皇太子が主導する「ビジョン2030」の下、ゲームとeスポーツの世界的拠点としての地位を確立するべく、エンターテインメント分野に大規模投資している。「ビジョン2030」は16年に発表され、石油依存からの脱却や経済多角化を目的とする経済改革計画である。
22年9月、「国家ゲーム・eスポーツ戦略(NGES)」が策定され、30年までにeスポーツ部門で国内総生産(GDP)に約130億ドルを寄与し、約4万人の雇用を創出する目標が掲げられた。また同月に発表された「サビー・ゲームズ・グループ(Savvy Games Group)戦略」では、政府系ファンド「公的投資基金(PIF)」傘下の同社が、ゲーム開発やパブリッシングへの投資、人材育成を支えるエコシステムの構築などを担っていくこととなった。
こうした国家主導の取り組みの中で、24年7~8月に開催された「eスポーツ・ワールドカップ2024」には、約500のチームから1500人の選手が参加し、200万人以上の来場者が集まった。今年の第2回目では、賞金総額が前回大会から1000万ドル増額し、eスポーツ史上最高の7000万ドル以上(100億円規模)となった。サウジアラビアでは26年11月にeスポーツの国別対抗戦「ネイションズカップ」、27年には「オリンピックeスポーツゲームズ」も開催される予定である。
