2025年12月6日(土)

World Energy Watch

2025年10月27日

 サウジアラビアも長年にわたって原発導入を目指してきた。10年にアブドゥッラー国王原子力・再生可能エネルギー都市(KACARE)が設立され、17年に「サウジ国家原子力エネルギー計画(SNAEP)」が閣議で承認された。

 22年には、ドゥワイヒーン(Duwaiheen)原子力エネルギー会社が設立され、原発新設に向けた入札プロセスを開始した。ドバイ拠点の中東専門誌『MEED』によれば、中国核工業集団公司、フランス電力(EDF)、韓国電力公社(KEPCO)、ロシアのロスアトムの4社が入札に参加しているとみられる。

eスポーツや電力面での日本への期待

 サウジアラビアはeスポーツ産業において日本の役割に大きな期待を寄せている。この背景には、日本企業がこれまで世界のゲーム業界を牽引してきた歴史である。

 サウジeスポーツ連盟のファイサル・ビン・バンダル・ビン・スルタン・アール・サウード会長は何度も来日し、eスポーツ産業における日本企業との協業を模索してきた。急成長を遂げるサウジアラビアのeスポーツ産業は、日本のゲームコンテンツ輸出にとって極めて有望な市場となるだろう。

 また、サウジアラビアの電力部門への貢献は、日本・サウジ関係を強化する好材料となる。今後大規模な拡大が見込まれる再エネ分野において、IPP(独立系発電事業者)ビジネスに積極的に参入することで、日本企業は長期の売電収入を確保できるだけでなく、サウジアラビアの脱炭素化の取り組みにも寄与することができるだろう。

 今年は、日本とサウジアラビアが外交関係を樹立してから70周年を迎える年である。サウジアラビアは30年にリヤド万博、34年に男子サッカーW杯(ワールドカップ)を控え、石油依存からの脱却と新産業の発展に力を注いでいる。

 大きな転換期において、日本が積極的に関与し、幅広い分野で協力を深めていくことは、両国関係を一層強固にするだろう。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る