2025年12月5日(金)

World Energy Watch

2025年9月4日

 カナダ西海岸で新たな液化天然ガス(LNG)生産施設が2025年6月、稼働を開始した。日本企業も出資するこのプロジェクトでは、日本へのカナダ産LNGの輸出も見込まれている。

カナダの天然ガス掘削リグ(tbob/gettyimages)

 カナダは近年、世界有数の石油・ガス生産国として存在感を強め、とりわけ米国のエネルギー安全保障を支える存在となっている。それは、日本にとっても言えることで、エネルギー調達先の多角化を進めるためにカナダ産LNGは今後、重要な役割を果たすと考えられる。

石油・ガス生産国としてのカナダのポテンシャル

 カナダは世界有数の資源生産国である。1850年代に東部オンタリオ州で石油が初めて発見され、20世紀前半には西部アルバータ州メディシンハットで天然ガスが、同州ターナー・バレーで石油が相次いで見つかった。その後、1947年の大規模なルダック油田の発見を契機に石油開発が本格化し、以後、エネルギー産業はカナダ経済において重要な役割を担うようになった。

 英国拠点のエネルギー研究所によれば、24年のカナダの原油生産量は日量513万バレル(bpd)で、米国・ロシア・サウジアラビアに次ぐ世界第4位を占めた。石油の確認埋蔵量(20年末時点)は1681億バレルとされ、ベネズエラ、サウジアラビアに次いで世界第3位である。可採年数(R/P比)は89年に達し、カナダは産油国としての大きなポテンシャルを有している。

 天然ガスについては、24年のガス生産量が世界5位の194BCM(※BCMは10億立方メートル)となり、LNG輸出大国のカタール(179BCM)も上回った。天然ガスの確認埋蔵量は2400BCMとされ、可採年数(R/P比)は14年である。

 カナダの資源輸出は年々増加している。カナダ・エネルギー規制局(CER)によれば、24年の原油輸出量は前年比で5%増加し、420万bpdを記録した。輸出の79%(333万bpd)が重質油、残りの21%(87万bpd)が軽質油である。


新着記事

»もっと見る