2025年7月10日(木)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2025年6月24日

 任天堂のゲーム機『Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ2)』は、6月5日に世界同時発売された。6月11日には発売3日間のデータが集計されて発表されたが、既に世界での販売台数が350万台を突破したという。

任天堂のスイッチ2は、世界でも発売直後から人気を見せている(P/アフロ)

 この時点で、同社の歴代ゲーム機の中で過去最高となっている。ちなみに、日本国内の発売3日間での販売台数も95万台弱と好調だ。

海外でも「新型iPhone」並みの反響

 このスイッチ2については、海外での関心も非常に高い。アメリカの場合は、大手の量販チェーン、ウォルマート、ターゲット、ベストバイが一斉に予約販売を行ったが、日々刻々と変わる在庫状況を消費者がネットで追いかけるなど、熱気は相当なものだ。一般の新聞やネットニュースなどでも、Appleの新型iPhone発表(昨年9月)以来のハイテク機器新製品のビッグニュースだと言われている。

 例えば、ハイテク系の製品レビューではアメリカで最も人気のあるユーチューバー、マルケス・ブラウンリー氏の "MKBHD" チャンネルでは、4月時点での試供品レビューが687万ビューという回り方をしている。これは、ブラウニー氏が iPhone の新型についてレビューした場合とほとんど同じ視聴数であり、テック業界において、今回のスイッチ2発売のインパクトを物語っている。

 ちなみに、発売と同時にブラウンリー氏が公開した「スイッチ2、開封と初プレイの印象」についての動画での評価も視聴が拡大中だ。ベタ褒めはせずに、淡々と前世代機との比較をしながらゲームをプレイする動画だが、ブラウンリー氏が冷静なことがかえって新製品への満足感を物語っているようだ。メーカーに忖度せず、ダメなものはダメと突き放すことで人気を得ている "MKBHD" チャンネルの反応ということで、ターゲット世代の評価がかなり高いことが分かる。

 金融アナリストの評価も非常に高い。アメリカの経済ニュース局CNBCの、アージュン・カーパル氏が6月18日に電子版で配信したコラムでは、スイッチ2の成功により任天堂株は今年に入って46%上昇し、時価総額で6兆円増の効果があったとしている。また、任天堂がコアの知的財産を巧妙に管理する中で、マリオ、ゼルダ、ポケモンといったキャラクターやブランドを映画やテーマパークなどを通じて浸透させたことが、回り回って新世代ゲーム機の成功という果実を実現しているという評価もしている。


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