地域ブランド日本一
観光地としての京都の総合的なブランドと並んで、地元産品のブランドの多さも京都の特徴である。この地元産品のブランド数を知る指標の1つとして、「地域団体商標」というものがある。これは、商品名やブランド名などの商標登録制度を管理する特許庁が行っている制度で、「地域ブランド」の保護による地域経済の活性化を目的として06年4月1日に導入」されたものである。
例としては、「地域の名称」+「商品(サービス)の名称」として構成されるブランド名で、25年10月31日現在で790件の地域団体商標登録がなされている。我々に馴染みのあるものとして、「大間のまぐろ」(青森)、「松阪牛」(三重)、「輪島塗」(石川)、「佐世保バーガー」(佐賀)、「沖縄シークヮーサー」(沖縄)などがあげられる。都道府県別にこの登録件数をベスト10までランキングすると、表1のように、圧倒的に京都府のブランド登録件数が多いことがわかる。
第2位は「淡路島たまねぎ」、「神戸牛」、「明石鯛」、「灘の酒」などで有名な兵庫県である。そして、第3位は農産物を中心として北海道が続く。
残念ながら、東北地方はベスト10までのランクには入らず、20位の青森県が14件であった。京都府の地域団体商標登録の実例の一部は表2に示されている。どれも我々のよく知る京都の産品や観光サービスである。
この地域団体商標登録は、特許庁がブランドの優劣に関して審査をしてランク付けしたわけではなく、あくまでも申請者の自発的な申請に基づいて、地域団体商標登録の要件に合致しているものを認めたという結果である。ただし、申請さえすれば何でも認定されるわけではなく「一定の地理的範囲の需要者(最終消費者又は取引事業者)に知られていることが客観的事実(販売数量、新聞報道など)によって証明できることが必要」(特許庁)とされている。
以上のことを勘案すると、商標登録件数が少ない地域には誇れるようなブランドが存在しないというわけではないといえよう。たとえば「鳥取二十世紀なし」(鳥取)、「南魚沼こしひかり」(新潟)、「薩摩焼酎」(鹿児島)などはこの地域団体商標登録一覧にはないが全国的に有名な産品であることは間違いない。
したがって、この地域団体商標登録は地元産品をブランドとして守り、ビジネスを拡大していこうとする地元事業者たちの「意識や熱意の表れ」とも受け取ることができる。この京都のいい意味での商魂は、見習いたいところである。


