知られざる京都の1位、男女平等度
最後に、知られざる京都の1位として、男女平等度ランキングを紹介したい。男女共同参画社会は今では重要な社会的政策の1つである。その基本的な出発点である「男女共同参画社会基本法」は古く1999年に成立している。
しかし、26年経過した現在の日本で、望ましい男女共同参画社会が実現しているかについてはまだ議論の余地のある所であろう。ダボス会議で有名な世界経済フォーラム(WEF)が公表したGlobal Gender Gap Report 2025によれば、日本の男女平等度のランキングは対象なった148国中118位と下位にランキングされ、うち高所得国51カ国の中では48位とされている(国際的な男女平等度ランキングでは、教育、経済、健康・寿命、政治参加の4項目で採点。これまで、日本は政治参加以外では高得点をマークしてきたが、政治参加で「過去50年間の女性元首」の項目では0点であった。しかし今年、初の女性首相が誕生したため、26年ランキングは上昇するとみられる)。
筆者は、日本の国際的な男女平等度の地位を上げるには、まず国内の平等度を改善するべきと考えた。そこで、10年と20年基準で、都道府県別男女平等度指数を計算しランキングした。
この基準は北欧の男女平等政策の支援国のノルウェーと統計局が国内の地方自治体の男女平等度を指標化していた方法を援用したものである。ちなみに、Global Gender Gap Report 2025でのノルウェーの国際ランキングは、アイスランド、フィンランドにつづいて世界第3位である。
表3に示すとおり、筆者が行った2020年の都道府県別男女平等度ランキングでは、京都府は全国47都道府県中第1位という結果であった。
表3の指標は、就学前の子供教育(保育園、幼稚園等の子育て施設の充実度)、女性(成人)の高等教育(大学進学)、人口性比(女性に選ばれる地域か)、女性の労働参加率(労働力率を使用)、女性の給与額、そして女性の地方県議会議員の割合といった、6つの基本的指標を軸に、絶対値、男性との相対値などの指標評価に2つのバリエーションを持たせ、9つの指数を構成し、それらから最終的な地域別男女平等度指標を作成している。
初めに各個別項目での値を求め、その中で上位から4分の1ずつ4点、3点、2点、1点とスコアを各都道府県に付与する。次に得られた9つの項目各スコアを加重平均し、最終スコアを求め、各地域の男女平等度指標とするものである。
その結果、京都府が10年のランキングでは全国第2位であり、20年で1位となったことから、京都府のランキングは一過性のものとはいえないであろう。このランキングで京都府が1位となった理由は、統計的には4点を得られた項目が多かったことに由来するが、特に前半の教育関係の指標で高得点を得ていることが注目される。この理由の一つとしては、人口あたりの大学数が日本1位である(23年)こと、高校卒業者の進学率も全国1位(22年)であることも大きく影響していると考えられる。
冒頭にあげたように、京都は寺社仏閣、日本庭園、歴史的木造建築など「古い日本」の伝統を引き継ぎつつ、今日のもっともホットな問題である「男女共同参画」でも高位にランキングするという二面性を兼ね備えた魅力的な地域である、「観光」という側面以外でも訪問・体験する価値がある地域といえよう。


