2024年4月17日(水)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年6月27日

 目立つ現象の一つはまず、不動産が徹底的に売れなくなったことだ。中国では、毎年5月1日のメーデーを中心に数日間の休みがあって、例年では不動産がよく売れる「花の五一楼市(不動産市場)」とされてきたが、今年のそれは惨憺たるものであった。中原地産研究センターが観察している全国54の大中都市で、「五一楼市」で売れた不動産件数は9887件で、去年同じ時期と比べると32.5%減となったという。その中で、たとえば首都の北京の場合、期間中の不動産販売件数は前年同期比では約8割も減った。地方都市の保定に至ると、期間中の不動産契約件数はわずか10件、まさに「不動産市場の5月厳冬」と呼ばれる大不況の到来である。

 不動産が売れなくなると、ついてくるのは価格の下落だ。全国における不動産価格下落の傾向は今年の3月からすでに始まっているが、5月後半にはそれがいっそう加速している。中国経済新聞網が5月30日、重慶市最大の不動産開発プロジェクトの「恒大山水城」が3割以上値下げして売り出されたと報じれば、同じ日に放送された中央テレビ局の「経済30分」という人気番組では、杭州市にある分譲物件が予定価格の3分の1程度を値下げして売り捌いた事案を取り上げた。そして『毎日経済新聞』の報じたところによれば、「値下げラッシュ」が南方の大都会の広州にも広がり、ある業者が史上最高の価格で取得した土地で作った「亜細運城」という大型不動産物件が3割程度の値下げを余儀なくされたという。

 そして最後、5月31日に中国指数研究院が発表した全国100都市での定期調査の結果、この100都市の不動産平均価格が5月において前月比で0.32%の下落となったことが分かった。全国で広がる価格下落の実状を見ると、この「0.32%」という下落幅は果たして真実を十分に反映しているかどうかはかなり疑問だが、少なくとも、全国の不動産平均価格は2年ぶりに確実に下落していることがこの調査結果から分かっている。

 さらに、そういう平均的統計数字よりも、たとえば中国有数の不動産開発大手の「中国S」トップの潘石屹氏の「中国の不動産市場は今、氷山に衝突するところのタイタニック号だ」という衝撃発言の方が、現在の危機的な状況を如実に反映しているのであろう。この国の不動産市場は確かに「氷山」にぶつかって沈没する寸前である。香港に拠点の一つを持つスタンダードチャータード銀行の「大中華区研究主管」の王志浩氏も近日、「今年以内に中国一部都市の不動産価格は半分以上も暴落する」との不気味な予言をしている。

「中国経済の長い厳冬に備えよう」

 不動産市場の崩壊がもたらす経済面の負の効果も大きい。たとえば不動産市場の不況を受け、今年1月から4月までの全国の不動産投資の着工面積は前年同期比で22.1%減となったが、不動産投資がそれほど減ると、今後は鉄鋼やセメントなどの基幹産業から家具・内装などの民需産業にも不況が襲ってくるのは必至だ。対外輸出がすでにマイナス成長に転じた中で大変苦しんでいる中国経済は今後、さらなる減速と衰退を避けられないであろう。


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