2025年12月19日(金)

World Energy Watch

2025年12月19日

25年11月ロシアの化石燃料収入は最低に

 22年2月のロシアのウクライナ侵攻により、欧米日はロシアへの制裁としてロシア産化石燃料の輸入量削減に踏み切った。

 EUは、22年8月にロシア産石炭、12月に原油、23年2月に石油製品を輸入禁止にした。ただし、ロシアからパイプラインで原油を購入していたハンガリーとスロバキアは例外として輸入が認められた。

 石油と石炭のロシアへの依存度は25%程度だったので、価格上昇を招いたものの禁輸が可能だったが、依存度が40%の天然ガスについては禁輸できなかった。

 EUのロシアからの化石燃料購入に伴うロシアへの支払額は減少しているものの、欧州のシンクタンクCREA(Centre for Energy and Clean Air)によると、24年のEUのロシアへの化石燃料代金支払額は、219億ユーロ(約4兆円)であり、EUのウクライナへの支援額187億ユーロ(3.4兆円)を上回っている。

 ロシアは、化石燃料の中でも販売額が大きい原油を、ロシアへの制裁に参加していない中国とインドなどに販売し(図-1)収入を維持していたが、化石燃料価格の下落もあり、25年11月のロシアの化石燃料収入は前月比1%減となり22年2月の侵攻以来最低額になった。

 原油の収入が前月比6%減の1日当たり2億1600万ユーロ、石油製品が11%減の1億400万、天然ガスが5%減の5200万、液化天然ガス(LNG)が19%増の4300万、石炭が9%増の7200万、合計4億8900万ユーロだ。

 それでも、11月にロシアは約2.7兆円の販売収入を得ていることになる。中国が最大の輸入額54億ユーロ(約1兆円)を支払っており、インド、トルコ、EU、韓国と続く(図-2)。EUも10億ユーロ(約1800億円)を支払った。

ロシアの戦争を支える化石燃料

 ロシアは侵攻以降の化石燃料代金として9800億ユーロ(約180兆円)、内EUからは2100億ユーロ(約40兆円)を得ているが、化石燃料の収入は価格の下落も反映し減少している。

 しかし、依然として化石燃料はロシア連邦政府の収入を支え、ロシアの戦争を支える大きな収入源だ。

 26年から28年の3カ年のロシア連邦政府予算では、26年の歳入として40.3兆ルーブル(79兆円)、歳出として44.1兆ルーブルが見込まれているが、歳入の内10.6兆ルーブル、26%は石油・ガス関連収入、歳出の内軍事費と安全保障費がそれぞれ12.9兆、3.9兆ルーブルを占めており、軍事関係費用が歳出の約38%を占めている。


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