The New Yorker誌ライターのジョシュア・ヤッファが、Foreign Affairs誌のウェブサイトに‘Putins All the Way Down’と題する論文を投稿し、ウクライナ戦争の継続と西側諸国との紛争を思想的に支えるロシアの帝国主義的イデオロギーは、プーチン体制とロシア国民の間の相互作用によるものであって、単に上から押し付けられたものではない、としている。要旨は次の通り。
今日のロシアにおいては、国家と国民のいずれにおいても、イデオロギーが中心的な問題として再浮上している。ロシア人はプーチン政権下で支配体制に着実に順応し、ナショナリズムと反自由主義的な思想へと傾倒し、最終的にはロシアのウクライナ戦争を支持するようになっている。
フランスの歴史家で政治学者のマルレーヌ・ラリュエル氏は、プーチンによる新たな帝国主義的イデオロギーの構築は、上から押し付けられた価値観だけでなく、社会に既に浸透している思想や流派をも利用することに依拠していると示唆している。ウクライナ戦争を継続し、西側諸国とのより広範な紛争の原動力となっている思想は、プーチン体制とその支配下にある国民の間の、長く進化し続ける相互作用から生まれたものである。
ラリュエル氏によれば、政権とロシア社会の関係は、単なる権威主義的なものではなく「共創的なもの」で「暗黙の社会契約」に基づいており、「絶えず再交渉されなければならない」。しかし、一つだけ変わらないものがある。それは、ロシアを大国として復活させるという使命に対するプーチンの信念だ。
プーチンは、表面上は矛盾しているように見える多くの教義を借用してきた。例えば、ロシア正教、ツァーリズム、ソ連の超大国としての遺産、ユーラシア主義などである。2022年の侵攻以降、これらの教義はいわゆるZブロガーや従軍特派員による軍国主義によってさらに強化されてきた。
