ウォールストリート・ジャーナル紙の11月12日付け解説記事が、ウクライナの国営原発管理公社「エネルゴアトム」にからむ大規模汚職事件は、ゼレンスキー大統領にとっての試練になる、と指摘している。要旨は次の通り。
戦争下のウクライナのゼレンスキー大統領に国内問題も押し寄せている(ロイター/アフロ)
ウクライナのエネルギー部門における汚職疑惑が浮上する中、11月12日、現政権内最高位のハルシチェンコ法相(7月までエネルギー相)とフリンチュク現エネルギー相が辞任した。この事態の余波は、ゼレンスキー大統領にとっての試練になりつつある。
戦場ではロシア軍が新たな勢いで進軍を続け、ゼレンスキー大統領が西側同盟国からの支援獲得に苦戦する中、今回の捜査は国内外でゼレンスキー大統領への支持を揺るがす恐れがある。
ウクライナ国家汚職対策局(NABU)は、ハルシチェンコ氏とゼレンスキー氏の側近らが、同国の原子力機関エネルゴアトムと契約を結んでいた企業から賄賂を要求したと主張している。
捜査結果を公表したNABUによると、この計画では最大1億ドルが不正流用された。ゼレンスキー大統領の元ビジネスパートナーを含む他の側近も、この計画に関与したとされている。
NABUは、捜査により提起されたいかなる告発についても、ゼレンスキー大統領には言及していない。この事件は、ここ数週間のロシアによるウクライナのエネルギーシステムへの攻撃を受け、長期にわたる停電に見舞われているウクライナ国民の怒りをかき立てている。NABUによると、今秋にエネルギーインフラの防護設備を設置する契約は、エネルゴアトムの幹部がより大きな見返りを求めたため延期されたという。
