2026年1月7日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年1月5日

 同時に、台湾は人民解放軍による日常的な威圧にも対応しなければならない。中国の船舶や航空機は台湾周辺の海空域に頻繁に侵入し、中国軍が台湾周辺で勝手に行動することが常態化している。このため、台湾は侵略に対する防衛のための非対称戦略を支えるシステムに投資するだけでなく、日々の挑発に対応すべく通常の戦闘機や艦船やセンサーにも投資する必要がある。

 同様に、台湾は国内の強靭化にも投資している。これは抑止のもう一つの重要な方法だ。

 中国の台湾征服計画は、台湾の人々は圧力に簡単に屈するとの前提に立っているが、台湾は現実がその反対であることを証明しようとし、政府はサイバー安全保障、重要資源の備蓄、インフラ防衛に投資することを提案している。戦い続けることを覚悟した社会は、北京も簡単には屈服させられない。

 トランプ政権が防衛費を増やすよう台湾に圧力をかけたのは間違ってないが、台湾は単独でこの課題に向き合うことはできないし、そうすべきでもない。中国の経済規模は台湾の20倍だ。

 だから米国は引き続き台湾支援で中心的役割を果たすべきである。米国企業も台湾の企業と組んで生産能力を拡大すべく多くのことができるはずだ。

 米国は台湾海峡周辺の平和と安定の維持に多大な利害を有している。ヘグセス国防長官が今年初めに言ったように、「我々の目標は戦争を防止し、そのコストを高くして、平和が唯一の選択肢になるようにすることで、我々はこれを強力な抑止の盾によって実現する」。今や台湾はこの盾を構築しつつある。米国はそれを支援しなければならない。

* * *

トランプ政権への警鐘

 トランプ大統領は「台湾は自らの防衛のために十分な経費を使っていない」、「台湾は半導体製造などで米国から雇用を奪った」などと発言し、台湾を批判した。そのため台湾では一時、いざという危機的な事態になったとき、米国は台湾を守ってくれるだろうかという「疑米論」が強くなったことがある。

 このような議論に対して、台湾防衛のために米国が軍事力を全面的に投入することは、きわめて重要であると ワシントン・ポストの記事が述べている。この記事の内容は、トランプ政権への警鐘を鳴らすものとなっており、台湾の防衛問題を論じるうえでの興味深い記事となっている。


新着記事

»もっと見る