共和党議会の指導者たちもその内容について「まさにロシア(当時ソ連)にタフな姿勢を示したレーガン大統領当時の構想そのものだ」と一斉に賛辞を並べ立てた。
ところが今回は、こうしたライバル国に対する確固たる決意表明は全く姿を消し、代わって登場したのは、「NATO拡大の誤謬」への言及であり、ウクライナ戦争については、その責任についてロシア非難どころか欧州諸国と対等視する傍観者的スタンスが目立っている。
このため、新戦略はロシアのプーチン政権に歓迎され、ドミトリー・ペシュコフ大統領報道官があえて「全体として我々の抱くビジョンと符合するもの」と評価したのも驚くに値しない。
中国についても、17年度版では、「米国の価値観や利益に反する世界を形作ろうとする修正主義勢力」として警戒を強めたが、今回はこうした表現が消えた。代わって、自国利益を最優先する「米国第一主義」が前面に押し出されたのを踏まえ、「中国とは真に有利な経済関係を維持する」としており、4月に予定される大統領訪中による習近平国家主席との首脳会談次第では、対中警戒どころか、両国関係拡大につながる可能性も否定できない。
また、米中首脳会談に関連して注目されるのは、何らかの取引によりトランプ大統領が対中関税問題で引き下げに踏み切るかどうかだ。もしそうなった場合、日欧同盟諸国にも課してきた高関税政策についても、見直しを余儀なくされ、ひいては世界経済全体に大きなインパクトを与えることになる。
与党「劣勢」の中間選挙の行方は?
最後に、トランプ政権にとって26年の最大関心事は、何と言っても11月の中間選挙の趨勢だ。その結果次第では、予算執行など内外政策面で、独断専行型のこれまでの政権運営の見直しを強いられることにもなりかねない。
共和党は現在、上下両院ともに多数を制しているものの、全議席が改選される下院(435議席)は民主党との差がわずか6議席と拮抗している。
中間選挙は伝統的に、野党有利とされてきただけでなく、今回は、大統領支持率も40%を割る低迷傾向が続き、有権者に対する“トランプ効果”も薄れつつある。さらに、物価の高止まりに対する有権者の不満や、関税がもたらす景気悪化に対する懸念は、共和党地盤である中西部、南部諸州にも広がりつつある。
このため、大統領としては、年内早い時期になりふり構わず、景気浮揚策などを打ち出す必要がある。その中には、5月に連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の任期が切れるのを機会に、次期議長に自分のお気に入りの人物を据え、さらなる政策金利の切り下げ強行も視野に入れているとみられる。
ただ、こうした小手先の場当たり的な政策だけで、ひび割れが拡大しつつあるいわれる「MAGA」支持層を再び奮い立たせ、投票所に向かわせることができるかどうかについては、疑問符がついたままだ。
2年後の次期大統領選挙を待たず、2026年はトランプ氏個人の評価のみならず、共和党としての命運を問われる重要な年となることは間違いない。
