2026年1月11日(日)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2026年1月10日

原子力潜水艦と核融合――覇権を決定づける「未来の電力」

 なぜ、そこまでしてレアアースに固執するのか。その理由は、2020年代後半から加速する「技術のパラダイムシフト」にある。

 現在、軍事力の象徴は航空母艦から、探知不能な「原子力潜水艦」へとシフトしている。さらに、それらに搭載される小型モジュール炉(SMR)や、究極のエネルギーとされる核融合発電の実用化レースが激化している。AIの爆発的な普及にともなう電力需要の増大も、これに拍車をかける。

 これらの次世代技術において、強力な磁石や耐熱合金、超電導素材としてのレアアースは代替不可能だ。つまり、レアアースを制する者が、21世紀後半のエネルギー覇権と軍事覇権の双方を掌中に収める。トランプにとって、これは単なる「貿易赤字」の問題ではなく、アメリカが「二流国家」に転落するかどうかの瀬戸際の問題なのである。

南鳥島――日本が握る「静かなる切り札」

 この米中の巨大な資源戦の渦中で、日本はどう立ち振る舞うべきか。

 日本は長年、資源を海外に依存する「持たざる国」の代表格とされてきた。しかし、その自虐的な常識を根底から覆す可能性が、太平洋の絶海に浮かぶ孤島、南鳥島に眠っている。

 南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)の海底には、世界最高水準の濃度を持つ「レアアース泥」が堆積している。その埋蔵量は数百年分とも言われ、品位においても中国の陸上鉱山に匹敵、あるいは凌駕する。

 これまで日本政府は、この資源を「夢のプロジェクト」として、どこか現実味を欠いた研究対象として扱ってきた側面がある。しかし、トランプが世界の資源地図を力ずくで書き換えようとしている今、南鳥島は単なる「研究対象」から「最強の外交カード」へと変貌を遂げなければならない。

日本よ、交渉カードを持てる国になれ

 トランプが資源を「武器」として扱うなら、日本もまた、南鳥島の開発を「国家安全保障」の最優先事項に据えるべきだ。

 南鳥島のレアアース開発に成功すれば、日本は中国への依存を脱却するだけでなく、アメリカにとっても「不可欠なパートナー」としての地位を確立できる。アメリカが渇望する資源の供給源を日本が握ることは、日米同盟を「守ってもらう関係」から「資源と技術を相互補完する対等な関係」へと昇華させるだろう。

 山師として、私はあえて言いたい。

 トランプを「暴走」と切り捨てるのは簡単だ。だが、その背後にある剥き出しの資源戦略を読み解き、自らの国力をどう再定義するかを考えないことこそ、真の知性の放棄である。

 南鳥島は、日本に残された最後の、そして最大の切り札だ。

 米中の巨人がぶつかり合う2026年。日本が必要としているのは、資源を単なる「モノ」としてではなく、国家の「意思」として扱う覚悟である。太平洋の底に眠る静かなる資源が目覚める時、日本の立ち位置は劇的に変わるはずだ。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る