2026年1月15日(木)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2026年1月15日

 これらの改革は偶然の産物ではない。AI、サイバー防衛、無人兵器システムなど、現代の国防には高度な専門知識が不可欠だ。韓国軍は軍務員を「兵力資源減少時代の戦闘力創出を支える核心機関」と位置づけ、その能力を最大限に引き出す環境整備を急いでいる。軍務員活用強化は、韓国軍の近代化戦略における重要な柱となりつつある。

防諜司令部が78年の歴史に幕

 韓国国防部は1月8日、国軍防諜司令部の解体を26年内に完了する方針を明らかにした。民間軍合同特別諮問委員会が同日、防諜司令部の「発展的解体」を国防部長官に権告したことを受けた措置。同日付国防日報は「防諜司解体…捜査・防諜・保安機能を分散」と報じた。

解体が決まった国軍防諜司令部の旗(国防軍HPより)

 防諜司令部は対スパイ活動を担う韓国軍の情報・捜査機関で、1948年の建国時に設置された特務部隊を起源とする。77年に陸海空軍の防諜部隊が統合され国軍保安司令部となり、その後改称を重ねてきた。

 解体の直接的契機は24年12月3日の尹錫悦前大統領による非常戒厳令だ。防諜司令部の呂寅兄司令官は戒厳令宣布直後、主要政治家14人の逮捕班を組織した。諮問委員会の洪現益委員長は「単一機関に広範な機能が集中して権力機関化し、政治的中立性が毀損された」と解体理由を説明している。

 権告案によれば、防諜司令部の機能は三分割される。秘密漏洩捜査などの安保捜査機能は国防部調査本部へ、対スパイ活動の防諜機能は新設の国防安保情報院へ、セキュリティー監査など保安監査機能は中央保安監査団へそれぞれ移管される。

 人事諜報や動向調査などの機能は全面廃止される。新設される国防安保情報院は文民統制を重視し、機関長に軍務員など民間人の配置を優先検討するという。

 防諜司令部は過去にも79年の粛軍クーデター、90年の民間人違法査察、16年の戒厳令準備文書作成など政治介入で問題視されてきた。一方で、同じ民族である北朝鮮と対峙する韓国にとって必要な組織でもあった。防諜司解体が民主主義の成果か、蟻の一穴なのか、その評価にはしばし時間が必要だ。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る