2025年12月11日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年12月11日

 フィナンシャル・タイムズ紙が10月30日付けで、韓国の原子力潜水艦保有に関し、トランプ大統領が韓国は米国内で原子力潜水艦を建造できると述べたと説明する解説記事を掲載している。要旨は次の通り。

(EyeEm Mobile GmbH/gettyimages・つのだよしお/アフロ)

 トランプ大統領は10月30日、韓国に対しフィラデルフィアでの原子力潜水艦建造を許可したと述べた。同大統領は、米韓軍事同盟は「かつてないほど強固」であることから、「原子力潜水艦の建造を承認した」と言う。

 ホワイトハウスはトランプ大統領の提案内容について詳細を明らかにしていない。米国が韓国に原子力潜水艦の燃料製造を許可するということなのか、それとも米国がこれまで英国とオーストラリアに対してのみ共有していた技術を提供するということなのかよく分からない。

 米国はこれまで、同盟国との原子力の平和利用に関する協定の中で、核燃料の製造は核拡散の懸念を生じさせるとして、韓国による核燃料の製造を認めてこなかった。しかし、10月29日に韓国で行われたトランプ大統領との首脳会談に先立ち、李在明大統領はトランプ大統領に対し、「原子力潜水艦への燃料供給を認めてもらえば、韓国は独自の技術を用いて通常兵器を搭載した原子力潜水艦を数隻建造することができる」と言った。

 李大統領は、原子力潜水艦によって韓国は米軍の防衛負担を軽減できると述べ、同盟国に自らの防衛責任をより多く担うよう求めるトランプ大統領の意向に呼応するものだと主張した。

 トランプ大統領は、バイデン政権下で英国とオーストラリアが署名した三国間協定「AUKUS」を強く支持した。この協定により、オーストラリアは原子力潜水艦隊を保有できるようになる。無論この計画に中国政府は激しい批判を浴びせかけている。


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