さらに名目GDPが毎年増えていくことも考えるべきだ。高市早苗首相が主張している「責任ある積極財政」では、政府債務残高の対GDP比が着実に低下するようにするとしている。25年度末で、国の政府債務残高(公債等残高)は1124兆円、名目GDPが3%で伸びるとすると25年度のGDPは662兆円である。
分母の名目GDPが3%で伸びている時に、分子の政府債務残高の伸びが3%以下であれば、政府債務残高対名目GDP比は上昇しない。すなわち、26年度の政府債務残高は25年度末の1134兆円×103=1168兆円以下であればよい。
政府債務残高の対GDP比を低下させるには
一方、26年度末の政府債務残高=26年度の財政赤字+25年度末の政府債務残高となるはずだから、26年度の財政赤字=25年度末の政府債務残高1134兆円-26年度末の政府債務残高1168兆円=-34兆円となる。すなわち34兆円までの赤字であれば、政府債務残高対名目GDP比は上昇しない。
自然体でも26年度の赤字は10兆円くらいになりそうだ。使えるのは34兆円から10兆円を引いた24兆円ということになる。債務残高が高いままだと何が起きるか分からないし、政府は政府債務残高の対GDP比を低下するようにしているので、全部使うのは止めておいた方が良い。この半分の12兆円ずつ使うと、政府債務残高の対GDP比は毎年1%ずつ低下していく。
日本の政府債務残高の対GDP比は200%を超え、先進国の中で突出して高いが、政府保有の金融資産を除いた政府純債務残高の対GDP比で考えると100%を切っておりイタリア並である。そこからでも少しずつ減らしていった方が良いだろう。
すべての減税と支出を同時に考えるべきだ
政府が使えるのは12兆円である。ここから、政府の取り分を減らすものとしては、食料品の消費税5兆円、すべての消費税とすると30兆円、社会保険料の引き下げ(社会保険料を1%減らすと3兆円かかる)、税の基礎控除の引き下げ(年収の壁178万円に引上げで6.4兆円)、インフレ調整減税(1%のインフレで0.4兆円)がある。
政府の支出を増やす方には、防衛費の対GDP比2%目標の早期達成で1.3兆円、給付金1人2万円で2.5兆円、高校授業料完全無償化で0.6兆円、大学無償化2.1兆円、危機管理投資・成長投資で7.2兆円である(これらの数字は、様々な資料から、概算したものである)。
これらの中で、筆者は、まずインフレ調整減税を何としてでもすべきと考える。3%のインフレ調整減税で1.2兆円程度だから十分可能な額だ。
所得税は累進になっているから、インフレになれば、実質所得が増えていないのに税率の高い階層は実質増税になってしまう(ブラケット・クリープ)。これは議会を通さない隠れた増税であり、本来、許されるものではない。
