2026年2月7日(土)

Wedge REPORT

2026年2月7日

OEM多層化という“見えないブラックボックス”

 外食企業の冷凍食品参入が進む一方で、自社工場を持たずOEMに依存するケースが増えた。原料加工、揚げ工程、包装が別工場に分かれ、2次・3次OEMがブラックボックス化する。行政の監視は届かず、消費者が袋を開けたときに異臭を感じても原因特定が難しい。

 これは医薬品のジェネリック不足と同じ構造である。

 医薬品の原薬も、中国やインドなど海外依存が高く、特に抗生物質など基礎的な薬ほど国内だけでは賄えない構造になっている。

 食と薬は、異なる産業でありながら、同じ“多層化と海外依存”という構造問題を抱えている。企業は「安さ」「効率」「株主価値」を軸に最適化し、国家戦略とは別トラックで動いてきた。その結果、日本は“どこで作られているか分からない”サプライチェーンに生活を委ねることになった。

 では、実際にどれほど依存しているのか。数字で見てみたい。

出所:財務省貿易統計、農畜産業振興機構(ALIC)等をもとに筆者作成 注:依存度は、財務省貿易統計およびALIC資料による「冷凍品の輸入量に占める国別シェア(数量ベース)」。いずれも直近の確定値は2021年で、2022年以降も同水準で推移。写真を拡大

 この表が示すのは、単なる輸入依存ではない。「代替が効かない領域での依存」 である。ほうれん草やブロッコリーは、刻み食・嚥下食・給食の副菜など、代替が難しい用途で使われている。

 つまり、欠品はそのまま介護・給食・医療の機能不全につながる。

 国民は“棚が空になるまで”気づかない

 日本の生活インフラは、企業の合理性と国家の無関心の間に落ち込んでいる。冷凍野菜の欠品は、単なる副菜の問題ではない。

 介護施設の栄養管理が破綻し、学校給食のメニューが変わり、病院の栄養管理が困難になるのかもしれない。 しかし生活で毎日忙しい生活者は、コンビニの棚が空になるまで気づかない。

 このサプライチェーンのブラックボックス化こそが、日本の脆弱性の核心である。

日本の生活インフラは、静かに限界に近づいている

 食と薬は、もはや資本市場任せでは維持できない。冷凍ほうれん草の欠品は、介護・給食・医療の機能不全につながる。 日本の未来を担う世代への大きな負債となる。

 医薬品の海外依存が高いことを考えれば、食と薬は同じ構造問題を抱えている。日本の生活インフラは、静かに、しかし確実に限界に近づいている。

 次回は、台湾海峡が90日止まったとき、日本の生活がどのように崩れていくのかを、時系列で描く。

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