米国は、40年間にわたって不愉快にさせて来たイスラム革命体制に一矢報いようとするかもしれない。トランプ大統領は、イランに対して「極めて強い」行動に出ると脅かし反政府デモを煽ったが、その後、立場を後退させた。
もし、イランを攻撃するとすれば、慎重に計画されたものとなったであろう。しかし、米国の介入が成功する可能性は低いだろうし、もし、トランプ大統領が攻撃を命じれば、イラン側は短長距離弾道ミサイルで報復して想定外のエスカレーションをもたらすと思われ、ゆえに域内諸国は米国に攻撃しないよう警告している。
さらに、ベネズエラのようにIRGCと取り引きするという方法では、イラン国民が反政府デモを弾圧したIRGCの指導者に対して復讐しようとするので、安定は長続きしない。
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かえってイランは混乱する
今回取り上げたEconomist誌の社説は、かなり鋭い指摘をしている。まず、「抗議活動は表面上収まったが、いつ再燃するか分からない」という指摘は正しい。
政府が切断した電話、ネットも回復しつつある模様でイスラム革命体制側は強硬な弾圧で反政府デモを乗り切ったのは間違いないだろう。しかし、国民の経済的困難、イスラム革命体制による抑圧は変わることなく、国民の不満は何等解決されていないので、反政府デモが再燃する可能性は高い。
さらに、この社説の特筆すべき点は、イランのイスラム革命体制が崩壊してもかえってイランが混乱する可能性を懸念し、さらに、IRGCによる権力奪取の可能性を指摘している点である。前者については、国内に反イスラム革命体制の統一的な組織がないことが大きな問題だ。
イラン国外では受け皿を念頭にイランの元皇太子が脚光を浴びているが、いまさら王政復古でもないであろう。さらに、イランは多民族国家であり、かねてからクルド人、バルチスタン人、アラブ人の間に分離独立志向が見られ、イスラム革命体制の支配が揺らげば、分離独立闘争に火が付く可能性は大いにあるのみか、一部の報道によれば既に今回の反政府デモの最中に武装したクルド人分離独立派が蜂起した模様だ。
