2026年2月9日(月)

勝負の分かれ目

2026年2月9日

 青森のヴァンラーレ八戸は今季からJ2へ昇格したが、現在の本拠地はJ2基準を満たしていない。

 クラブは公式サイトに「昇格後3年以内にJ2以上のスタジアム基準を満たす整備計画をJリーグに提出し、34/35シーズンまでにはスタジアムを整備する必要があります」などと署名活動で機運を高める狙いだが、費用負担は「自治体頼み」となっているのが実情だ。

ヴァンラーレ八戸がHPで求めた署名活動(公式HPより)

 そもそも、サッカーの屋外スタジアムは、全天候型のアリーナと比べると、音楽コンサートなどサッカーの試合以外の誘致が天候に左右される問題があったり、規模が大きすぎたりと課題も大きい。

 また、巨大なハコモノは整備をしたら終わりではない。その後に当然、維持管理コストもかかる。秋田市の場合も、市の試算では5000人規模のスタジアムを整備したとしても、維持管理費は年間約1億円で、施設の貸出による収入を差し引くと、1年あたり約7000万円の赤字になる見込みだ。

 これは秋田市だけの問題ではない。スタジアムの新設や拡張のための改修を進めた結果、地域の負担となれば、サポーターとなるはずの住民からJリーグ、クラブへの反発と支持離れにつながるリスクもあるからだ。

 何より、Jリーグが定めるスタジアム基準が、地方クラブの場合には必ずしもニーズに合っているとはいえない。

 秋田の場合、1試合平均の入場者数は前年シーズンを上回る過去最多とはいえ4953人だった。25年シーズンの成績がJ2の20チーム中14位。J1に昇格すれば、観客数は増加する可能性はあるが、現状のクラブの財政規模からは、J1を主戦場にすることは難しい。

 むろん、J2での戦いを見据えることが「志が低い」とはならないはずだ。Jクラブは、欧州のクラブがそうであるように、本拠地を置く都市の規模によって、クラブの財政面にもバラツキがある。

 北米のプロスポーツと違い、昇格と降格の制度があることで、チームが現状に合ったカテゴリーに身を置くことができる。このため、必ずしも勝敗やリーグのカテゴリーという結果だけにこだわらず、持続的に地域に愛され、根付くクラブ運営を理想としてきた。スタジアムの規模も同様で、一律にはできないだろう。

 地方都市が“背伸び”をして、「巨大なハコモノ」を整備したとしても、空席が目立つスタジアムは閑散としたマイナス・イメージを高めてしまう。Jリーグの基準ありきではなく、地域の実情にあった整備こそが求められるはずだ。

Jリーグ側も〝譲歩〟

 今回、Jリーグ側の「志が低い」発言が飛び出したのは、25年11月の非公開協議の場だった。地元のABS秋田放送が、秋田市への新スタジアム整備計画を巡る議事録の開示請求で明らかにした。

 記事は26年1月6日付でウェブにもアップされ、同8日に開かれた沼谷純市長の会見で、市長が「自治体のオーナーは秋田市民。市民に向かって志が低いと言っている自覚がない。常識がなさ過ぎる」などと批判したことを受け、多くのメディアが報じることとなった。

 Jリーグ側は同27日に都内で開かれた理事会後のメディア対応で、この件についてコメント。複数のメディアによれば、協議の当事者間では問題がない発言だったことを報道後にも確認した上で、「報道で出されているものは協議の一部分だけ。クラブのポテンシャル、将来性を踏まえた上での拡張可能性に焦点を当てて検討がされているのか、十分確認していただきたいという意図で発言した」などと釈明した。


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