2026年2月12日(木)

日本人なら知っておきたい近現代史の焦点

2026年2月12日

 なぜ、その年の圧倒的なアルバムでもないのに、米国のグラミー賞にスペイン語のみで製作されたアルバムが年間最優秀アルバム賞を受賞するのだろうかと思った人も少なくなかったはずである。英語を連邦レベルの公用語とする大統領令にトランプが署名したのはそのような声を背景にしているのだろう。

 他に多くの有望新人がいる中、オリヴィア・ディーンが最優秀新人賞を受賞したのは、「移民の孫」だからではないのか。メッセージ性が強すぎるのではないのかというのである。

それでも授賞式を観てしまうトランプ

 音楽業界の中でもグラミー批判はある。エミネムが偏った選考を批判して、「グラミーは無価値だ」と発言し、自分のことを二度とノミネートするなと言ったのは有名である。また、その才能あふれる楽曲でビルボード1位を獲得するなど評価の高いニッキー・ミナージュがグラミー賞を受賞していないことに触れ、「世界最高の女性ラッパーの一人であるニッキー・ミナージュがグラミー賞を一つも持っていないのは異常だ」という内容の発言をしたこともある。

 ニッキー・ミナージュが受賞できない理由として有力視されているのが、ニッキーがあからさまなトランプ支持者であるということである。トリニダード・トバゴ出身のニッキーは、自らをトランプの「一番のファン」と呼び、米国への永住の道を約束する「黄金のカード」を受領したことを公表している。

 このことに対しても司会のトレバー・ノアは触れて、「みんなここにいる、ビリーもフィニアスもニッキー・ミナージュも、いや、ニッキーはいない。ホワイトハウスでトランプと大事な話をしている」と話し、またもや大喝采を浴びた。ノアの喋りよりも、会場に集まったエンタメ業界のセレブ達にあざ笑われるのがトランプには耐えられないのではないだろうか。

 テレビを足掛かりにのし上がったトランプは、もともとセレブの一員としてグラミー賞授賞式の会場にいるような人間であり、そこに集まるきらびやかな人たちと一緒に仲良くやっていた。また今もそうしたい。しかし、自分のことを皆であざ笑っている。

 授賞式など観なければいいのだが、トランプはテレビ好きで知られており、多くのアメリカ人が見る番組は必ず楽しみにして観る。グラミーの一週間後のスーパーボールも観て、グラミー賞授賞式でICEを批判したバッド・バニーのハーフタイムショーでいやな気持になり、従来から民主党を支持しており、東京のコンサート中にICE批判をしたレディ・ガガがそこに飛び入りで参加したのも気に入らなかったはずである。


新着記事

»もっと見る