2026年2月17日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年2月17日

 これは警告として受け止めるべきであり、大げさな政治的発言として一蹴すべきではない。USMCAの下では、毎年9350億ドル以上の商品やサービスが米国とメキシコの国境を越えており、これは世界でも最も重要な二国間の経済関係の一つとなっている。深刻な混乱が国境の両側に即座に経済的な影響をもたらすからといって、トランプ政権が行動を起こさないと考えるのは愚かなことだ。

 メキシコの治安状況も、常に懸念事項である。米政府内では、トランプ大統領に対し、組織犯罪との闘いを名目に、メキシコへの軍事介入を推し進める声がある。

 シェインバウムは間もなく選択を迫られる。ベネズエラの崩壊、キューバの経済急落、そして特に西半球における広範な地政学的緊張の中で、メキシコがキューバの独裁体制を公然と支えつつ、同時にワシントンからの善意や柔軟性を期待することはできない。

 メキシコが主権を擁護し、独自の外交路線を追求すること自体は正当であるが、その追求が無責任の域に踏み込むことは許されない。もし現実的判断よりも頑なな姿勢が優先されるなら、その代償は抽象的なものではなく、即時かつ具体的な形で現れるだろう。そしてその影響を最終的に被るのは、例外なく一般の勤労者層である。

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米国のキューバ「介入」への距離

 ベネズエラでの作戦に成功したトランプやキューバ系のルビオ国務長官は、次はキューバだと意気込み、1月11日にトランプは「手遅れになる前に」取引を行うべきだと述べ、キューバと何らかの交渉が行われていることを示唆した。恐らくは、米側は、民間経済の開放、政治犯の釈放、さらには自由な選挙の実施等を要求していると思われるが、それに応じない場合に体制変更を目的とした干渉もいとわないところまで計画が具体化しているわけではないだろう。

 そもそもキューバはベネズエラと違って、米側が内々根回しできるような人脈を政権中枢に有しているわけではなく、また、ディアス・カネル大統領はいわばカストロ・ファミリーの信任を受けた存在にすぎず、大統領を変えれば政策も変わるというわけでもない。また、仮に政権が混乱し人道上の危機にでもなれば、大量のキューバ難民が生ずることになりかねない。

 そもそも、国連総会では毎年キューバに対する米国の制裁解除決議が圧倒的多数で採択されてきており、キューバに対する石油輸出の禁止や海上封鎖は、国内法や国際法上の根拠を欠き、国際的な支持も得られずハードルが高いと思われる。


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