技術開発で増える高層建築
木造ビルが増え始めたのは、2020年代に入ってからだろう。
木造で6階以上のビルが建てられるようになったのは、何よりも新たな木質建材と建築工法が開発されたことがある。とくにヨーロッパで生まれたCLT(直交集成板)は、強度があり、耐震、耐火性も高まって、高層建築に使えるようになったことが挙げられる。
日本では、それに合わせて建築基準法の改正が幾度も行われており、昨年4月にも耐火性能基準が変更されて木造が建てやすくなった。政府は、木造ビル建設を強力に後押ししているのである。
メリットとして挙げるのは、環境負荷の低さだ。
とくに強調されるのは、樹木は成長過程で二酸化炭素(CO2)を吸収しているから、建材となっても使用中は炭素を固定し続けるという点だろう。さらに木材は鉄やコンクリートと比べて製造時の消費エネルギーが少ないこと。だからCO2削減効果があるとする。
またビル内の環境として、木材は断熱性能が高いことや、湿度を調整する機能があるから、温もりのある心地よい空間を実現できるという。木質空間ではリラックス効果やストレス軽減効果があり、作業効率が上がるとも指摘されている。
なお耐震面では、単に強度だけではなく、木材ゆえの柔軟性が地震エネルギーを吸収することもプラスに働くとする。
もう一つ、木造ビルが増えれば木材の需要も増える。そうなれば林業が活性化し地方経済に寄与すると訴える声も少なくない。
かえって環境に負荷を与える可能性
だが、よくよく内容を調べると、さまざまな「不都合な真実」が見えてくる。
炭素を固定すると言っても、集成材などの建材となるのは伐採した樹木の3割以下という事実を忘れている。製材屑のほとんどは燃やすか腐らせるのでCO2を排出する。
