加えてCLTや集成材は、傷や曲がりのあるB材など安い木材も材料になることを売り物にしており、むしろ価格を引き下げている。「林業振興を掲げるなら、高く買え!」と言いたくなる。
イメージばかりが先行
それではなぜ木造ビルが流行っているのか。
改めて考えると、建築業界は、脱炭素を進めている「分かりやすい絵」が欲しがっているのではなかろうか。持続可能な開発目標(SDGs)に貢献しているように見えることも重要なのだろう。
加えて行政も、身の回りに木造建築が増えることで林業が活性化しているように見せられる。新たな建材を製造することで収益を増やせる業界もあるだろう。だが、それでは真の意味での環境改善や林業振興をもたらさない。
もちろん、木造ビルを建てるなというわけではない。
施工法は、工場で生産した建材を現場で組み立てるだけだから、建築業界の人手不足に貢献する。また建物重量が相対的に軽くなるため、基礎づくりの際の掘削量や地盤改良等の規模を抑えられる。建材輸送なども有利だ。建設に要する日数も減らせるだろう。
何より街に木造ビルが建ち並ぶ風景は、絵になる。木を身近に感じることができれば、人々の心も癒されるだろう。さらに進んで森林などの自然、そして環境に興味を持ってもらう効果があるかもしれない。
木材をどう使うべきか
木造ビルは、何も高層を競う必要はない。中低層のビルを多く建てる方がゼネコン以外にも参入できる余地が生まれ産業振興になる。
また構造材が木材でなくとも内装、外構材に木材をたっぷり使った建造物も増やせばよい。美しい内装にするには高品質な木材が使われやすいから、木材価格も上がり林業にも好影響が出せる。
もちろん木材の調達では、再造林を確実に実行し、合法で環境に配慮した施業をしている林業地を選ぶことが重要となる。LCAをちゃんと開示することも大切だ。
イメージに振り回されず、真の意味で木材の良さを伝えられる建築物を建ててほしい。
