2024年11月21日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年7月15日

 習近平が3月末にパリで行った演説で彼の「本音」が表れた、という中国人研究者は多い。

 「ナポレオンは『中国は眠れる獅子だ。これが目覚めれば世界は震え上がるだろう』と語ったが、今や、中国という獅子は目覚めたのだ」

 「屈辱の歴史」に敏感な習は、「もう中国は二度と世界から馬鹿にされない強国になる」「俺たちはもう自分のことは自分で決める。新たな世界秩序は自分たちでつくるんだ」という決意を強めている。

 共産党関係者も「『反日』は共産党にとって必要なことだ。中国が戦争で最も人的被害を受けたのは日本からであり、報復しなければならないと思っている中国人は多いからだ」と解説する。

反腐敗絡み「対日弱腰」見せられず

 習近平は6月30日、収賄容疑で徐才厚前中央軍事委員会副主席の党籍剥奪処分と刑事責任追及を決定し、「聖域」だった軍の腐敗に本格追及する決意を誇示した。軍に忠誠を誓わせており、軍内の権力基盤強化に向けて正念場に入っているのだ。

 「09年12月の訪日で天皇陛下との会見を強く望み、敬意を表した習主席が心から反日だとは思わない」(日中関係筋)という声は強い。しかし軍・党内では「対日強硬論」は確実に強まっており、「日本」で揚げ足を取られるようなことは行えない。今後も一段と反腐敗闘争を進め、最高指導部メンバーだった周永康前党中央政法委員会書記を視野に入れる中、「対日弱腰」は決して見せられない段階に来ているのだ。

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