2026年3月10日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年3月10日

 一方、トランプが西半球を勢力圏として確保するために、プーチンには欧州を、習近平には東アジアを勢力圏とすることを認めるというシナリオがありうるのかと考えれば、むしろそれを否定する材料の方が多く思い浮かぶ。トランプにとって、西半球は国家安全保障戦略において「米国の優越性」を宣言している地域である。トランプからすれば、西半球は当然に自らの勢力圏であり、西半球を勢力圏として確保するために何らかの見返りを差し出すという発想にはならないだろう。

トランプが持つ自信

 勢力圏の相互承認という国際関係モデルは、19世紀の欧州各国、冷戦期の米ソのように、関係国、その国家指導者がお互いを同等レベルと認識し合っている国家間、その国家指導者間で成立するものである。ところが、トランプは(良くも悪くも)自分の力、米国の力に自信を持っている指導者であり、自分が習近平ないしプーチンと同等レベルとは思っていないだろう。

 「君は東アジア/欧州、僕は西半球」といった「公平」な取引を行儀良く行うのはトランプ的ではない。「西半球は俺のもの、他の地域も俺が口出しをしたい時にはする」というのがトランプの発想ではないか。

 トランプは、西半球以外の地域について「同盟国はもっと努力しろ」とは言っているが、中露に対して相手の勢力圏として売り渡すかは別問題である。トランプにとって、勢力圏は米国については当然に認められるべきものである一方、中露をはじめ他国については認めるつもりのない概念ではないかと思われる。

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