時代に即した墓の形を
佛國寺の「森のお墓」は、墓が継承できずに無縁墓となる問題への対応と、森林(とくに人工林)の荒廃を防ぎ、森林の保全を行うことを目的とする。さらに墓参りなどで地方への来訪者が増えることも期待できると考えている。
ただ宗教家や自治体の中には、遺骨遺灰を自然界に還す行為を毛嫌いし、墓石がないことを嫌がる人もいる。遺族が、樹木葬を希望した遺言を無視するケースも少なくない。
そこで黙雷和尚は、墓埋法の改正を訴えている。墓を設ける基本的な理念や形態を整理し、時代に則したものに改めるべきだとする。
筆者も、樹木葬や散骨などの位置づけをはっきりさせるべきだと考えるし、昨今賛否の分かれる土葬に関しても見解を示すべきだろう。そもそも昭和23年に制定された墓埋法は、「土葬を基本として火葬も認める」という立て付けである。ところが葬儀の99%以上が火葬になった今、土葬に対する答を有していない。
「和尚の政界人脈を駆使すれば、解決が早いのではないですか」と問うた。反対派だって黙らせられるのでは……。外野ゆえの無節操な意見だが、和尚は「政治家に頼るのではなく、下から声を上げるべき」とする。そのための一石を投じ、全国に有志を広げていくという。
墓地の扱いは、地味なように見えて日本人の精神性にも関わる問題だろう。自然との向き合い方や先祖、そして未来へ向けたメッセージとなるものだ。さらに荒廃する森林の保全、衰退する地方の活性化……多くの課題に関わる。その解決のための墓埋法改正に手を上げる人はどれほどいるだろうか。
