2026年4月5日(日)

WEDGE REPORT

2026年4月5日

ガザ内部の統治空白とハマスの支配力再強化

 さらに、国際的な関心がイランへと逸れ、交渉が停滞するなかで、ガザ内部ではハマスが再び支配力を強める動きを見せている。停戦合意下でガザを統治するはずのNCAGのメンバーはいまだエジプトのカイロに留まっており、ガザ現地に入っていない。この統治の空白を突くように、ハマス内務省は執行機関を再編し、新たな警察署長を任命し、臨時本部を設置して、夜間に数十の検問所を設けて車両や通行人を捜索していると、BBCは報じている。

 一方で、イスラエル軍は現在もガザの半分以上を管理しており、停戦中であるにもかかわらず空爆が続いている。イスラエル側はこれらをハマスの武装勢力や警察官を標的にしたものだとしているが、2月末のイラン戦争勃発以降も、多数のパレスチナ人犠牲者が出ていると報告されている。大雨によってテントキャンプの下水システムが氾濫するなど生活環境が悪化する中、人道支援の大部分が些細な交渉に費やされており、インフラ修復といった基本的な生活の安定化への進展はみられていない。

 ラファ出身で今もガザで避難生活を送る男性は、こう述べる。

「合意の最重要条件の一つは武装解除・武器の引き渡しです。この条件をハマスは未だに拒否しており、イスラエルはそれに固執しています。そして、現実の地上では、ハマス政権が実際に支配しているのが実態です。ハマスはすでに自らの機関を段階的に再稼働させ、新しい責任者、閣僚、裁判官などを任命し始めており、治安面でも支配地域では完全に主導権を握っています。一方で、国連安全保障理事会が承認した国際部隊が動き出す兆しは一切ありません。ハマスはガザ西部を治安面で支配し、一方ガザ東部では占領軍の支援と庇護のもと、さまざまな名称の武装集団が存在感を増しています。ニュースで読んでいる内容と、現実との間には、あまりにも大きな乖離があるのです」

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