一方、トランプは、首脳会談を、米国産の農産物、工業製品、エネルギー製品を中国にさらに買わせる重要な機会と見なしている。これは、11月の中間選挙を前に、国内の有権者に対してアピールできる成果となるものだ。
中国の仲介の試みは、自国の経済的生存にも根ざしている。ホルムズの閉鎖は、ほぼ自給自足の電力網を持つ中国の輸出業者に一時的に優位をもたらしたが、長期にわたる戦争は中国製品の世界的な需要を脅かすものとなる。
中国は、また、米国が武力攻撃から経済戦争へと軸足を移した場合にも脆弱になる可能性がある。分析家たちは、トランプがイランに軍事兵器を供給するあらゆる国に対して50%の関税を課すと警告したことで中国は新たな逆風に晒される可能性もある。
かつてイランへの主要な武器供給国の一つであった中国は15年の国連の対イラン武器禁輸措置以降、その供給を停止した。イランは、核開発に不可欠な物資や設備を中国から調達している。
和平提案の背後には「中国ファースト」政策と呼ばれるものがあり、これは象徴的な勝利を優先し、世界の安定のために重大なリスクを負わない慎重な戦略である。この外交は、中国が米国と並ぶ超大国に位置付けながらも、その影響力の限界を示す。
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調停役に留まる中国
この記事は、混迷するイラン情勢を始め、中国が地域の安定にどのような役割を果たせるのかを考察する上で、極めて参考となる。まず、今般のイラン停戦を働きかけた中国の意図は、5月14日開催予定の米中首脳会談でトランプの好意的対応を期待したものであるとし、王毅外相の北朝鮮訪問や鄭麗文国民党主席の北京招待も、同首脳会談を控えて、米国外交の主要問題において中国の存在が無視できないことを示すと共に、中国の地域安定化勢力としての地位を確立しようとしていると論じている。
また、記事後半では、中国のイラン問題への関与の背景には、紛争が輸出主導の中国経済を阻害することへの懸念や、イランにとって中国が最大の石油輸出先であること等緊密な経済関係に対する考慮もあるが、そもそも中国の国際紛争への関与は、「中国ファースト」とも呼ぶべき戦略の一環で、象徴的な勝利を優先し、安定のためのコストを負わないことが原則であるという。従って、提案や調停は行うがそれ以上の関与はないので、その限りで影響力の限界があると論じている。
