「外来同種」という静かな侵略者
気になって調べだすと、雑草だけではなかった。
たとえばダンゴムシ。鎧を被った姿は『風の谷ナウシカ』に登場した王蟲(オーム)を超小型化したかのようだが、正式名称はオカダンゴムシだ。そして外来種だった。
明治時代に入ってきたとされるが、とくに増えたのは戦後で、どうやら進駐してきた米軍の物資の中に入っていたという説が有力である。それがあっと言う間に全国に広がった。
日本在来のダンゴムシ(コシビロダンゴムシとハマダンゴムシ)もいるのだが、棲息地は森林と海浜の土壌に限られていて、あまり目にすることはない。人里で目にするのは、ほぼオカダンゴムシである。
さらに驚いたのは「外来同種」という存在が増えているという指摘だ。雑草を研究する京都大学の伊藤操子名誉教授によると、エノコログサやヨモギ、メヒバなどの草の中に、微妙に花や葉の形、さらに臭いなどが違う個体が混ざっているという。それらを調べると、種としては在来の植物と同じなのだが、外国からもたらされたものだった。
たとえばヨモギの中に、葉が日本古来のものより大柄で、臭いがきつい個体が見つかる。それは中国から移入したものらしいのだ。
在来種と交配も可能で種子もつくるから、同種ではあるのだが、どこか違う……。種の分化までしていないが、遺伝子に変異を生じているのだろう。そんな静かな侵略者が増えているそうだ。
なくてはならない存在にも
環境省は、外来生物法に基づき「特定外来生物」を指定している。生態系や農林水産業、人の生命・身体に被害を及ぼす恐れがあるものを駆除対象にしたものだ。
外来種の中でも非常に繁殖力が強くて爆発的に増え、在来の生物を駆逐してしまう。また人間および人間に役立つ家畜などに被害をもたらすもの……それらの輸入や移動、栽培・飼育、そして野外への放出を禁止する法律だ。罰則もある。
植物では19種を指定されているが、動物も数多い。哺乳類で25種、鳥類で7種、爬虫類22種、両生類18種、魚類26種、昆虫類27種……。しかし、こうした指定を受けていない外来生物も日本列島の隅々まで広がっているのは間違いない。
一応、我が家の庭に生える雑草の中に該当する種は存在しなかったが、今ある外来雑草が、自然界にどんな影響を与えるのか正確にはわからない。
もちろん、外来生物のすべてが生態系や人体に悪影響を与えるものではない。むしろ農作物や食肉、薬用など有用な生物が多いのだ。
