2026年4月30日(木)

トランプ2.0

2026年4月30日

もはや痛みを共感できない

 トランプ登場以降、政治的な言説が激化して、それが直接的暴力へとつながっていく事象が急増している。連邦議会議事堂襲撃事件、ミネソタ州議会のホートマン議員とホフマン議員への襲撃事件、ペロシ元下院議長宅への襲撃、カーク氏暗殺事件、そして複数のトランプ暗殺未遂事件など枚挙にいとまがないほどである。

 それぞれが驚くべきひどい事件であるにもかかわらず、激しい刺激が繰り返されると人はある種麻痺してしまう。ひどい事件が起こっても「またか」となってしまうのである。

 また、トランプは就任以来、自分に都合の悪いことを報じる既存メディアを「フェイクニュース」と呼び、自分の物語を構築してきた。そのため、トランプを支持する人々と支持しない人々の間で、見ている世界が全く異なるという事態が生じている。トランプの提示する世界を信じていない人々にとっては、今回の襲撃事件も、あたかも政治的演出と感じられたり、何かの陰謀による作為的なものと見られたりするのである。

 加えて、そのように構築された物語の中にいると、自分に反対する人々を、ライバルではなく「敵」としてみなす傾向が強まる。そうすると「敵」に対して不幸なことが起こっても、政治的損得勘定で見てしまい、その痛みに共感するという心の余裕はなくなる。

注目集める事件2日前のナイトショー

 現在、今回の襲撃事件関連で、今一番アメリカ社会の注目を集めているのは、警備の不備や犯人の動機ではなく、ジミー・キンメルのナイトショーという奇妙な展開になっている。毎年この時期に行われるホワイトハウス記者協会主催の晩餐会は、政治風刺が得意なコメディアンが司会をし、大統領が自身のパロディを笑顔で受け入れるのが長年慣習となってきた。

 ところが、今年は、茶化されることを嫌った大統領に配慮してか、そのような形がとられていない。それを聞きつけたキンメルが、本番2日前にあたる23日夜の自らの番組の中で、自身が晩餐会の司会者いう役回りを演じ、晩餐会をパロディ化したモノローグを披露した。

 キンメルは、トランプ自身がからかわれるのに耐えられない「繊細な雪の結晶のような人物」なら、自分が代わりにおちょくってやろうと考えたのだろう。トランプを含めたオーディエンスの過去の映像を織り込んで、あたかもキンメルの司会にトランプなどが反応しているような作りであった。


新着記事

»もっと見る