スターマーは労働党の牙城だった英北部のEU離脱支持者たちを疎外することを恐れて最近までEU支持を主張することに極めて慎重だった。しかし国内の政治状況は選挙以降変わり、世論調査では今やリフォームUKが労働党をリードしている。ただリフォーム UK もファラージ党首も今や不人気のトランプ政権及びBrexitと密接に関連していると国民から思われている。
スターマーが真に大胆だったら、次の選挙では欧州との緊密なパートナーシップだけでなく、EU再加盟も提唱すべきだろう。それは将来への積極的な行動を促してくれる。既に英国ではEU再加盟は国民の過半数の支持を得ており、特に若年層の間で強く支持されている。
もちろん、現実には復帰は簡単ではない。英国は恐らくユーロも受け入れざるを得ないだろうし、予算拠出金の全額還付は認められないだろう。
EU再加盟への人々の熱意がこうした現実に直面して冷める可能性もある。また当然EUも英国の国民的コンセンサスが得られるまでは、再加盟交渉を躊躇するだろう。
従って、スターマーが EU再加盟を段階的プロセスとして扱うのは正しい。信頼が英国と欧州大陸の間で再構築される必要があり、再加盟の恩恵も明確に示される必要がある。ただし、事態は急速に動いており、英国にも欧州にも数十年もの時間的余裕はない。
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世論も動きつつある英国
このラックマンの論説は、英国のスターマー政権が米国のトランプ政権との関係を憂えてEU再加盟の方向に政策を変更しようとしていることを指摘しているが、重要な指摘である。
YouGov世論調査によると、米英両国が「特別な関係」にあると考える英国民は14%、米国に接近したいと考えるものは18%に過ぎない。他方、EUへの接近を望む人が 57%いるということであるが、英国人が同盟相手としての米国への評価を急激に下げていることが明らかである。スターマー政権がEU再加盟の方向に向かう可能性は相当あるのではないかと思われる。
