物流統括管理者は
物流を変えられるか
26年4月に改正物流効率化法が全面施行され、物流統括管理者(CLO)の議論が活発化している。
CLOは、発着取扱貨物量が年間9万トン以上の特定荷主(約3200事業者)において、役員など経営幹部の選任が義務付けられるものである。各企業は、積載効率の向上や荷待ち時間の短縮、荷役などの時間短縮が求められる。
その中でCLOの役割は、中長期計画の作成、定期報告の作成、報告徴収への対応が挙げられる。同時に統括管理すべき業務としては、開発、生産、流通、販売、調達、在庫管理、その他の貨物の運送または受け渡しに関係する業務に係る各部門間の連携体制の構築、取引先その他の関係者との連携および調整である。これら業務をCLOが意識をもって遂行するのかが、今後の物流改革に大きな影響をもたらす。
CLOの選任は、企業によって対応に大きな差異がある。日清食品や三菱食品など、企業全体の改革につながるような人材を選任した企業もある一方で、従来の物流部長と同じ位置づけで、そのまま選任する事例も多い。さらに物流業務を包括して請け負う3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)事業者などに外部委託して丸投げをしてしまっている企業も多く、自社内には物流業務全体を把握できている人材がいない場合も見られる。
こうした背景には、メーカーにおいては、開発部門、営業販売部門、生産部門などの力が相対的に強く、物流部門は弱い立場にあったことが挙げられる。物流部門は「いかに安く業務を遂行するか」が求められており、〝コストセンター〟として位置づけられていることが大きい。そのため、なかなか人材が育っていない問題がある。
各企業、各部門が「個別最適」を追い求めるのではなく、「全体最適」を目指すべきという議論がある。これ自体はもちろん間違っていないが、すべての関係者にとって一律に良くなるという状態はなく、企業間、部門間で発生するトレードオフをどのように調整するかが重要となる。
本来、物流、ロジスティクスは、企業内さらにサプライチェーン全体を俯瞰できる立場にあり、関係者がトレードオフを理解し、調整する場面において、CLOの役割は非常に大きいのである。
さらに、物流関連の取引公正化に向けて、トラック・物流Gメン、さらに公正取引委員会による監視体制の強化も進んでいる。従来、独占禁止法(独禁法)には荷主と物流事業者の取引における優越的地位の濫用を効果的に規制するために指定された物流特殊指定というのがあるが、適用されたのは警告事例3件、確約計画の認定例が1件の計4件にとどまっている。
そうした中で26年1月から中小受託取引適正化法(取適法、旧下請法)において、発荷主が運送事業者に対して物品の運送を委託する取引が対象として追加された。今後はさらに、独禁法の物流特殊指定が改正され、着荷主が運送事業者に運送以外の作業─例えば、着荷主企業の物流センターにおける運送事業者の積み下ろし作業や各種付帯作業─を提供させることによって発荷主の利益を不当に害する場合も対象となることが予定されている。
