これらの運送以外の業務を行っても、これまでは運送事業者に対して適切な支払いが行われず、発着荷主企業間においては、〝顧客サービス〟の一環として業務が提供されている場合がある。消費財等の取引の場合、商品代金に物流コストを含めた金額を卸価格とする店着価格制が一般的だが、今後は、発着荷主企業間、発荷主企業と運送事業者間の契約において物流の業務内容を明記することが欠かせないといえる。
食料品消費税2年間ゼロ
危惧される物流危機
物流改革を考える上では、「計画化」と「平準化」が重要なキーワードとなる。現状、サプライチェーンを構成する企業間における情報共有が不十分なため、物流業務の計画化ができないことも多い。例えば、いつ、どの商品が納品されるかという事前出荷情報が発着荷主企業間で共有されずに、荷待ち時間が発生し、着荷主企業では受け入れ作業が計画的にできない場合が多くみられる。さらにサプライチェーンの企業間で受発注量が確定されず、無駄な在庫を抱えたり、トラック台数を余分に確保したり、緊急輸送が発生するといったことも頻繁にある。
ネット通販などのセールが典型的だが、マーケティングの視点から、需要喚起策が行われる。ただ、需要が大きく変動するのに対して、物流側の供給力には限界がある。物流の効率化という観点からみると、物流量が安定し、業務が平準化されることが望ましい。すなわち、需要変動がそのまま物流量の変動に連動しないように、物流負荷を考えたリードタイム、ロットの設定などの「仕組み作り」が欠かせないといえる。
需要量が大きく変動することは、物流のみならず、生産にも大きな混乱をもたらす。そういう中で危惧されるのは、高市早苗政権で掲げられている食料品の消費税率2年間ゼロ案である。
歴史を振り返れば、14年4月に消費税率を5%から8%へと引き上げた際にも、物流に大きな混乱が生じた。13年の秋から、駆け込み需要によって需給がひっ迫し、14年3月まで運賃が急上昇すると同時に、トラックの確保が困難になる問題が発生した。トラック不足からその代替としてダンプカーが使われるといった深刻な状況もあったという。
消費税率が下がる前は、買い控えによって物流需要が抑えられる一方で、2年後は駆け込み需要によって物流量が一気に膨れ上がるといったことが起きかねない。消費税率の議論において、物流、生産の混乱を招かないという視点も欠かせない。
我々はこれまでずっと引きずってきた「昭和型」あるいは「20世紀型」物流の抜本的見直しとその改革に迫られている。物流改革は端緒についたばかりであり、特定の施策だけでは解決するものではない。社会全体で物流の重要性を再認識し、位置づけを高め、行動変容を促していく必要がある。
