自主規制の例も実証されている。Nation誌は、シカゴ大学のadministratorが同大学内の孔子学院にダライ・ラマの肖像を飾るつもりはないと述べたと報じている。
以上のような懸念から一部の大学は中国側のオファーを断っている。孔子学院を持つ大学の教授陣が抗議申し立てに署名している例もある。多くの人々が、中国と大学当局が結んだ秘密の合意が開示されないことに懸念を持っている。スタンフォード大学のような一部のエリート大学は、交渉により制約を排除したが、その他の大学は、まだ、それが出来ていない。
中国は何十万ドル(場合によっては何百万ドル)の資金を提供し、「出来合いのパートナー」も用意する。しかし、学問の自由に値札をつける訳にはいかない。大学は中国との合意を公表し、中国による差別や抑制が一切ないことを証明すべきである。それが出来ないのであれば、プログラムを廃止すべきである、と主張しています。
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社説は、中国が豊富な資金を投入して世界の一流大学に影響力を増していることに対する当然の反応であり、歓迎できる論調です。中国は、孔子学院を明確にプロパガンダ機関と位置付けており、その教員がどういう訓練を受けているか、社説が具体例を挙げて紹介している点は、特に価値があります。
孔子学院の問題は、もちろん、日本の大学にも大いに関わることです。かつて、大学関係者や進歩的文化人は、学問の自由、大学の自治をヒステリックに唱え、国の関与を徹底的に排除しようとしましたが、孔子学院に代表される、今日の中国のやり方こそ、学問の自由、大学の自治への挑戦と言えます。ワシントン・ポスト紙の推奨する規律が世界標準になり、日本の大学もそれを採用することが望まれます。
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