AIが引き起こす格差
責任の所在の不透明さだけでなく、AI がもたらす富の偏在とそれによる格差の助長も米国で大きな問題となっている。AI企業の創設者や最高経営責任者(CEO)、数少ない関係者が莫大な財産を積み上げ、「新貴族」と言われるようになっている。
AI企業やそれらに投資している企業の資産を保有している世帯は3%を超えないとされる。格差はトランプへの支持を減らす要因ともなっている。収入上位10%が消費支出の半分を占め、その結果、住宅や医療関連費を高騰させている。
規制を最小限に抑えたいシリコンバレーのAI貴族たちは、Leading the Future といった政治活動委員会を利用し、中間選挙に向けAI規制派候補を倒し、AI擁護派を当選させるため巨額の寄付をしている。Open AIのブロックマン、巨大ベンチャーキャピタルのホロウィッツ、Palantir のロンスデール等が、規制はイノベーションを阻害し、中国に優位性を与える懸念を理由に、こういった活動に関与している。
AIに関わるわずかな人々が巨額の富を蓄積し、選挙で選出されたわけでもないにかかわらずアンカー政治、経済、社会を変える力を持つようになった。支持政党や年齢に関係なくAIの有効性への疑念、AI貴族の富や力の偏在に憤懣が増し、MAGA派内でも分断が起きている。
こうした状況から、世論調査では有権者の57%がAIのもたらす危険が恩恵を上回ると回答し、AI を肯定的に捉える割合は26%、否定的が46%である(NBC 調査、3月10日)。AIの在り方が、中間選挙の行方を決める要因の一つとなるのは間違いない。
