2026年6月27日(土)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2026年6月27日

資本主義は勝ったのか

 若い頃の私なら結論は単純だった。資本主義の勝利。社会主義の敗北。それで話は終わっただろう。しかし、今はそう思わない。

 キューバは繁栄を失った。停電に苦しんでいる。それは紛れもない現実である。だが、船上の風景もまた別の現実だった。

 飽食、肥満、糖尿病、車椅子、自由な時間を持て余す老人たち……。

 資本主義は豊かさを実現した。しかし、豊かさの使い方までは教えてくれなかった。社会主義は平等を目指した。しかし、繁栄を維持できなかった。どちらも完全ではなかった。

 私はその夜、資本主義と社会主義の優劣を考えていたのではない。人間という生き物の限界を考えていたのである。

変わっていたのは私だけだった

 翌朝、まだ誰もいないデッキへ出た。水平線の向こうから朝日が昇る。海は静かだった。コロンブスの船もこの海を渡った。奴隷船も渡った。戦艦も渡った。そして今、豪華客船が渡っている。

 帝国は滅びた。革命は色褪せた。思想は入れ替わった。AI革命も、いずれ歴史の一章になるだろう。だが海は変わらない。

 私はしばらく水平線を眺めていた。海は昔と同じだった。キューバもそこにあった。モア鉱山もまだ動いている。変わったのは世界ではなかったのかもしれない。資本主義も、社会主義も、結局は人間が作った一時の仕組みに過ぎない。

 海だけがそれを黙って見続けている。私は静かに踵を返した。朝食のコーヒーが待っていた。変わっていたのは、私だけだった。

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